【MELIAMANNAの菜園 vol.5】トウモロコシ・つるありインゲン・カボチャ・唐辛子の種まきと、スナップエンドウの収穫

2024/05/19 2024/12/08 自然栽培

はじめに

サイトを見に来てくれたみなさん、こんにちは!
MELIAMANNA(メリアマナ)代表の有吉です。

MELIAMANNAとは、大学院で植物を学んだ代表が”衣食住”に植物を取り入れた暮らしを楽しみ、探求することをテーマとして活動しているサイトです。


今回の記事は、【MELIAMANNAの菜園 vol.5】。自然栽培への取り組みを記録している連載です。

2024年5月19日にトウモロコシ・インゲン・カボチャ・唐辛子の種まきと、スナップエンドウの収穫を行なったので、その様子を報告していきますね。この日の数日前は、もう5月の中旬なのにも関わらず最低気温が12~13℃くらいまで冷え込むなどしてなかなか不安定な天候が続きますが、なんとかなるの精神で突き進みます。

この日の気候と暦

この日は親戚2人も合わせて朝の10時頃から作業をスタートしたのですが…。どうやら僕らは5月中旬の暑さをナメくさっていたみたいで、10時など既に酷暑。数十分も作業を進めれば汗ダラダラになってしまったので、次回は早朝の集合を決意したのでした。

そしてこの5月19日は小満の前日。ありとあらゆる生き物が勢いよく成長し、地球が生命力に満ちている時期です。菜園やその周囲を見渡すと、ひととき前よりも草の勢いが明らかに増していて、どこからか侵食してきた笹が天に向かってひたむきに伸びていて、夜は一晩中カエルの大合唱で。そして人間も、厳しい夏がやってきて色んなことが捗らなくなる前に、やりたいことを全速力で具現化していくのにちょうどいい時期なんじゃないかなーと思っています。

現状のおさらいと種まきの計画

上の図は【MELIAMANNAの菜園 vol.4】で載せた2024年5月4日時点での作付状況ですが、今回は左側スペースの一番下の空いている畝に、トウモロコシ・つるありインゲン・カボチャの種まきをしていきます。また菜園内の適当なスペースに、唐辛子の種まきもします。

下準備に関してですが、左下の空いている畝は以前に1度耕運機をかけて耕しているので、今回はすぐに畝立ての作業へ入れそうです。

ではお次は実際の作業風景へ!

トウモロコシ + つるありインゲン + カボチャ (The Three Sisters)

トウモロコシ・つるありインゲン・カボチャのコンパニオンプランツについて

2024年の菜園ではコンパニオンプランツの考え方を最大限に取り入れた作付計画を行なっているのですが、その代表格とも言えるのが、“The Three Sisters”とも呼ばれるトウモロコシ・つるありインゲン・カボチャの組み合わせ。北米先住民の伝統的コンパニオンプランツによる集約的菜園です*1

野菜の伝統品種やハーブ、更には民族植物学的な有用植物の種子を扱っているMagic Garden Seedsというヨーロッパのサイトがありますが、なんと面白いことに”The Three Sisters“という商品名でこれら3品目の種子がキットで販売されていたりして。その商品の概要欄に”The Three Sisters”の詳しい説明が載っていたので、ちょちょいと意訳してみます。

スイートコーン・インゲン・カボチャは理想的なコンパニオンプランツで、最も有名な混植栽培システムでもあります。

その仕組みは、スイートコーンはインゲンがつるで上によじ登っていくための支柱となり、そしてインゲンは窒素を固定することで土壌を肥沃にし、より多くの栄養素を要求するスイートコーンをサポートしています。大きな葉を持つカボチャは地表を覆って日陰を作り出し、地表の水分やCO2濃度を保つのに役立っており、この組み合わせもやはり天然肥料として機能しています。

このような混色栽培の中で、それぞれの植物が互いに恩恵を与え合うという原理はとても古くから理解されていて、もしかするとそれはマヤ文明からもたらされた可能性もあります。これら3種の伝統的な組み合わせは”The Three Sisters”と名付けられています。

*2

このように、トウモロコシ・つるありインゲン・カボチャの混植栽培は、アメリカ大陸においてかなり古くから実践されてきた歴史ある栽培システムであることが分かります。

個人的には「カボチャは地表を覆って日陰を作り出し、地表の水分やCO2濃度を保つのに役立っており、この組み合わせもやはり天然肥料として機能しています。」という所を読んで、「地表に水分とCO2が保たれていたら肥料としての効果があるの?」と驚きというか疑問というかを感じたので、このことに関しては自分でも深掘りして調べてみようと思いました。

それにしてもこの混植システム、初めて知った時は「めっちゃ頭いいやん!!!」って感動した記憶があります。上の説明では機能的な説明がメインになされていますが、背の高いトウモロコシを立て、それを支柱につるありインゲンを上に登らせ、余った地表のスペースにはカボチャを這わせる、という空間的なスペースの使い方も天才的。自分の菜園でビシッと一発で上手くいくのか、それとも改善点が見つかるのかは未知数ですが、実際に実践できていることが楽しくてたまりません。

畝立てと種まき

それではやっと作業風景へと移ります。

◎畝立て
まずは畝立て。写真を撮るのをすっかり忘れていましたが、高さ約10cmの平畝で、畝幅は約80cmにしました。上記のように、地面を這うカボチャが地表の水分を保ったり地表に陰を落として雑草を抑止するなどマルチの代わりとなる(はず)なので、畝にビニールマルチは張りませんでした。


◎種まき
畝を立てたところで、最後にトウモロコシ・つるありインゲン・カボチャの種まきを行ないます。

今回使った品種は以下の通りです。
トウモロコシ・・・黄もちトウモロコシ
つるありインゲン・・・虎丸うずら(とらまるうずら)、高原秋縞(こうげんあきしま)
カボチャ・・・神田小菊(かんだこぎく)

これらThe Three Sistersの植え方は以下の通り。文章だけでは伝わりづらいので、図も付け加えています!
トウモロコシ・・・株間30cm、条間50cmの2条、1ヶ所あたり3粒の点播き。
つるありインゲン・・・株間30cm、条間50cmの2条、1ヶ所あたり3粒の点播き。トウモロコシの間に。
カボチャ・・・株間90cm、1条、1ヶ所あたり3粒の点播き。

また今回選んだ品種の中でも特に楽しみにしているのが、「虎丸うずら」と、「神田小菊」

「虎丸うずら」は子実どり品種のインゲンで、つまり莢ではなく完熟した中の豆だけを食する品種。煮豆などに使います。豆の模様がめっっっちゃくちゃ可愛いのも特徴です。

種子を購入した松尾農園さんの説明書きでは、

かわいい模様の子実は、品質極上です。
子実どり品種の中で「最もおいしい」と言われています。
子実に定評がある品種ですが、若どりして莢ごと食べることもできます。
どちらにも利用できるので、家庭菜園に重宝します。

*3

ということです。僕自身、子実どり品種のインゲンを食べること自体が初めてなのでとても楽しみにしています。なんど若どりすれば普通に莢も食べられるそうなので、頑張って成功させて、莢も豆もどっちも試してみよう!


また「神田小菊」は、料亭で使われるような高級品種のカボチャです。

煮物に最適!料亭で使われる!
昔ながらの “日本種” のカボチャになります。
甘さは少ないですが、味がしみやすく、煮崩れしにくいので、煮物などの日本料理に最適です。
高級料亭などでは “日本種” が使われていますが…
スーパーなどに並んでいるカボチャのほとんどは “西洋種” です。
甘さが強く、ホクホクした食感の “西洋種” が好まれるので…
今では、 “日本種” の生産量は減ってしまいました。
「最近の品種は、煮物には甘すぎる。」
「昔ながらの、あっさりしたカボチャが食べたい。」
…という方は “日本種” を選ばれると良いと思います。
そんな “日本種” の中でも、「神田小菊」は高級品種です。
重さは800~900gほどで、手ごろなサイズです。
病気にも強くて、育てやすいです。
あまり出回らない “日本種” なので、ぜひ家庭菜園で育てていただけたらと思います。

*3

との説明がなされていて「野菜、ただ甘ければいいってもんじゃないっしょ」という思想の僕にとってはぜひトライしてみたい品種! 神田小菊を収穫する時期までには、煮物の味付けを今よりも完璧に仕上げておかなくては。

中津川こしょう (唐辛子)

さてお次は、唐辛子の種まき。

「中津川こしょう」という唐辛子、とても風変わりな品種で

普通の3~5倍の辛さと、トマト並みの甘さを持つ!
いわゆる岐阜(飛騨・美濃)の伝統野菜「あじめこしょう」系統の品種です。
「あじめこしょう」は、普通のトウガラシの3~5倍もの辛さがあると同時に…
トマト並みの糖度を持つと言われている品種です。

*3

ということらしい。「普通より辛さが出る品種」というのは普通に納得できるんですが、それと同時に「トマト並みの糖度をもつ」ってどういうこと!? 実際に料理で使って味わってみたいという好奇心にはどうしても勝てず、即決で購入。この「中津川こしょう」も、今回の夏野菜でとても楽しみにしているもののひとつです!

当初の計画では、畝を立ててから唐辛子の種を撒こうと思っていたのですが、親戚から「唐辛子は畝じゃなくてテキトーな場所に播いて厳しく育てた方がしっかり辛味がでるんだよ!」と教えてもらったので、菜園のスペースの片隅、かつ太陽はしっかりと当たってくれるであろう場所にバラッと播き、ザッと土を被せておきました。成長の初期段階では、幼苗が雑草に埋もれてしまわない程度に草刈りをしてあげようとは思いますが、教えに則ってあとは放置気味に育ててみます。親戚、ナイスアドバイス!

本来、野菜は畝をビシッと立ててから栽培するのが常識となっていますが、本音を言うと、この唐辛子みたいに適当な感じで作物を栽培できるようになるのがいちばん楽ですよねー。特に家庭菜園は。畝にこだわらず生育に適する環境に種子を播いてあげて、それが成長して結実して、できた種子が地面に落っこちたまま冬を越して、また来年こぼれ種から発芽する、みたいな。できるだけ多くの種類の作物を、この唐辛子みたいに放置気味で栽培できるようになるにはどうすればいいだろう? みたいなことをこれから考えていきたい。

スナップエンドウの収穫

種まきを終えたところで、スナップエンドウの収穫です。お勉強と計画の期間を経て、2024年から本格的に始めた菜園。5月になって、ついに初収穫の時期がやってきました!!!

そんな収穫適期を迎えたスナップエンドウの様子はこちら!

スナップエンドウの種子の袋には、「莢の長さが7.5cm、幅が1.7cmに達したタイミングが収穫適期です」みたいに何とも絶妙な数字が記載してありました。実際に莢の長さを測ってみたら、長さは8.0cmくらいと全然OKでしたが、幅は1.2cmくらいのものが多く、絶妙に収穫基準に達せず。とはいえ次に菜園を訪れるのは1週間後になり、その頃には優に収穫適期を超えそうなので、ある程度長さのあるものは今回でほとんど収穫しました。

スナップエンドウの収穫時期については

収穫適期はそれぞれ短く、約2~5日しかない。収穫が早すぎると莢または子実の肥大が不足で、収量が少なく、風味も足りない。遅すぎる莢も子実も固くなって、風味や味が損なわれる。収穫期になったら、毎日圃場を巡回して、収穫適期になっている莢を順次に収穫する。

*4

とのことで、収穫適期がかなり短いので本来は頻繁に収穫してあげたいところですが、なかなかそうはいかないですよねー。

けど今回収穫したスナップエンドウ、さっと茹でて天日塩をぱらっと振りかけて齧ったら、超美味かった! 収穫した時は莢がちょっと未熟かなーと思ったけど、けっこうタイミングバッチリだったみたいです!

他の作物たちの経過観察

お次は、既に種まきを終えている作物たちの経過観察です。写真を交えながら簡単に報告していきます!

2種のジャガイモ

「アンデスレッド」については、最近の気温の上昇とともに、次第に葉が黄色っぽく変色してきました。しかし茎葉はまだしっかりと直立していて枯れている様子はなく、収穫まではあと1~2週間ぐらいかな、といったところ。

「名前忘れた」については、まだまだ葉色の変色さえも見られず。収穫まで2~3週間くらいはかかるのかな、といった印象。

ジャガイモに関してですが、どちらの品種も2024年2月18日と適期に植え付けできていて、5月中には収穫できるものだろうと踏んでいましたが、この様子だと収穫は6月に突入してからになりそう。意外と時間かかるんだなーという印象です。「ジャガイモ収穫 → 夏野菜の種まき」の流れで栽培する予定ですが、このままだと夏野菜の収穫が遅くなっちゃいそう。ま、夏野菜の生育に問題がなければ全然いいんですけど!

ときわ地這きゅうり

発芽成功!!!

ただし種まきした場所によっては、1ヶ所あたり3粒を点播きしたのに子葉が1本しか出ていなかったり、もしくは生育途中で枯れてしまって1本しか残っていなかったり、はたまた出てきた苗のサイズが明らかに小さかったりと心配要素はありますが、特に初期の除草をしっかりするなどして乗り越えさせてあげたいところ。

ダビデの星 (オクラ)

これも発芽成功!!! 夏野菜でいちばん楽しみにしている品種なので、超安心です。

ただしこちらも種まきした場所によっては、1ヶ所あたり3粒を点播きしたのに子葉が1本しか出ていなかったり、もしくは生育途中で枯れてしまって1本しか残っていなかったりしたので、初期の管理をしっかりしながら大きく成長させたいところ。

チャービル + 翡翠ナス

翡翠ナス、発芽成功!!! まだまだ弱々しいけどw

ただし5ヶ所に種まきしたはずでしたが、子葉が出てきているのはそのうち3ヶ所のみ。残る2ヶ所ですが、このまま発芽しなかったら追い播きの必要がありそうです。

また翡翠ナスと同じ畝に植えているチャービルについては、ちゃんと発芽はしているのですが、株のサイズが全く大きくならず。ナスとチャービルで混植して、チャービルは地を張うように成長してマルチ代わりになる予定でしたが、今回は頓挫。翡翠ナスにがんばってもらいましょう。

チャービルが上手くいかなかった原因としては
・そもそもチャービルが菜園の環境に合っていない (pHや栄養素などといった、土壌の問題)。
・チャービルはあまり陽が当たらず湿り気のある場所を好むが、今回植えた場所は陽が当たりすぎている (実際、軽い葉焼けが見られる)。
がパッと思い浮かびました。

ハーブの種子あるあるで、種子が袋に有り余るほど入っていてまだたくさん残っているので、チャービルに関してもっと深く勉強しながら、来シーズンは植え付けの場所を変えてみたり、それでも上手くいかなかったら鉢植えで楽しんでみたりと、試行錯誤していこうと思います。

ちなみにこのチャービル、実はこっそり鉢植えでも栽培しているのですが、4月の上旬に種まきして、今の時期になって下葉をどんどん収穫できるくらいの大きさに成長してきました。試しに、鯛のムニエルに添えて食べてみるとばりうま! 地植えでも上手に栽培できるようになりたいな。

大葉ニラ + 伊勢ピーマン

大葉ニラ、発芽成功!!! 子葉が乱立しています。

ただし伊勢ピーマンは、まだ発芽している様子はありませんでした。

先ほどの翡翠ナスといい、この伊勢ピーマンといい、ナス科の植物は他の科の植物よりも、発芽までのスピードや初期成長のスピードが少し遅いような気がします。

現在の作付状況と、今後の予定

◎作付状況
作付状況は上の図の通りです。スナップエンドウは、あと1~2週間くらいは収穫できそうです。また夏野菜の種類が順調に増えてきていますね。スナップエンドウやジャガイモを片づけた後のスペースにも、夏野菜を追加する予定にしています。


◎今後の予定
直近の予定としては、以下のように考えているところ。
・ジャガイモの収穫(6月上旬ごろ)
・スナップエンドウの最終収穫と片づけ(6月上旬ごろ)
・トマト&バジル、ピーマン&ニラの種まきや、サツマイモの植え付け(6月中に)

先ほどもちらっと書きましたが、ジャガイモの収穫時期が思っていたよりも遅かったので、ジャガイモ片づけ後の夏野菜の種まきが当初予定していたよりもだいぶ遅れています。夏野菜の収穫時期が遅くなるだけで、生育に悪影響がなければ特に問題はないのですが、こういったスペースの回転のさせ方は今後もっと上手くなりたいなーと思います!

参考にした情報

*1 自然のしくみをいかす家庭菜園 パーマカルチャー菜園入門. 2010. 社団法人 家の光協会, 東京, 159pp.
*2 Magic Garden Seeds / The Three Sisters – Seed kit gift box (2024年5月)
 https://www.magicgardenseeds.com/The-Three-Sisters-Seed-kit-gift-box
*3 種の専門店 松尾農園 オンラインショップ (2024年5月)
 https://matsuonouen.net/
*4 BSI生物科学研究所, 2023. 「実用作物栽培学」エンドウ.
 https://bsikagaku.jp/cultivation/peas.pdf

連載【MELIAMANNAの菜園】

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