もくじ
はじめに
サイトを見に来てくれたみなさん、こんにちは!
MELIAMANNA(メリアマナ)代表の有吉です。
MELIAMANNAとは、大学院で植物を学んだ代表が
”衣食住”に植物を取り入れた暮らしを楽しみ、追求することをテーマとして活動しているサイトです。
今回の記事は、【MELIAMANNAの菜園 vol.1】。自然栽培への取り組みを記録している連載です。
2024年2月18日に春作ジャガイモの植え付けと、スナップエンドウの種まきを行なったので、その様子を紹介していきます。そしてこの日は、畑の使い方に関する計画の段階を経てからの、初めての作業。親戚2人と協力しながら、「どうかしっかりと芽が出て成長してくれよ!!!」と願いを込めながら植え付け・種まき作業を行ないました。
この日の気候と自然暦
朝7:00頃にiPhoneのアラームで起床。目を擦りつつ縁側のガラス戸を恐る恐る開けてみると、朝の外気はキンッキンに冷え切っていて、霜が降りていました。
この日は雨水の前日。寒さがピークを越えるか越えないかせめぎ合っているような時期ですが、古来から農作業を始める目安の時期とされてきました。最初の作業を行なうには、これ以上ないタイミングですね。
またこの時期になると、福岡では至る所で満開の梅の花を楽しめるようになります。閑散とした冬からの出口が見え始めて、散歩がすげー楽しくなる季節ですね。また、沈丁花(ジンチョウゲ)や樒(シキミ)もちらほらと花をつけ始める季節でもありますね。
匂いフェチの僕、沈丁花の香りがたまらないので、これまた散歩が幸せな季節です。民家に咲いた沈丁花を見つけるたびに、顔を思いっきり突っ込んじゃいます。沈丁花からは、なんだか月桃(ゲットウ)というか、そういうショウガ科の花っぽい香りを感じるのは僕だけだろうか?
樒(シキミ)とは、唐樒(トウシキミ = 八角 / スターアニス)にそっくりな果実をつけるマツブサ科の植物です。みなさんご存知の八角は中華料理のスパイスとして、ホールのままテンパリングして香りを抽出したり、粉に挽いて五香粉の原料にしますが、それに対して樒は全草有毒。どんなに間違っても、呑気に持ち帰って調理するなどしないよう!
で、このように梅・沈丁花・樒の開花が始まれば、それはジャガイモを植え付ける合図なのです。カレンダーと睨めっこしながら毎年同じくらいの時期に植え付けるのもアリですが、自然暦を読んでいくのもまた一興、ということで。植え付けの適期も掴めて、花も楽しめて、と一石二鳥です。
ジャガイモの植え付け
2024年の春作では、2種類のジャガイモを植え付けました。ひとつはアンデスレッド、もうひとつは名前を忘れてしまいましたwww
以下、畝立てから植え付けまでの様子です。
畝立てとマルチング
ジャガイモ1種類で畝1本を使うことにしたので、今回は2本の畝を立てていきます。
畝幅は約80cm、高さは約10cmの平畝で。3人がかりで鍬を使って耕し、土を盛り上げ、レーキでならし、黒のビニールマルチシートを使ってマルチングします。
ジャガイモの収穫が終わる5月頃まではとりあえず、畝間の通路を含めた畑全体に耕運機をかけることはせず、耕作放棄地として2~3年間放置されていた約80cmの畝幅をそのまま使っておくことにしました。5月以降、夏野菜を直播するタイミングで畑全体に耕運機をかけ、改めて畝を立てる予定です。
種芋の植え付け
畝1本につき、1種類のジャガイモを植え付けていきます。
株間30cmの1条植えですが、種芋が余ったので稀に2条植え。2条の場合は、条間30cmで。
今回入手した種芋は2種類ともサイズが小さかったので、切断せずにそのまま植え付けました。
マルチ穴開け機を使いながら約10cmの植え穴を開け、ヘソ下・頂芽上で種芋を穴に入れ、その上から掘った分の土を被せました。今回はビニールマルチ栽培のため、後から土寄せができないので覆土は普通より厚めかもしれません。地温がしっかりと上がり、芽が出てくれることを祈ります。
ジャガイモには、ビニールマルチ栽培の他にも様々な植え方が存在するので、今後は色々と試してみたいなと思っています。
ついでにスナップエンドウの種まきも
畝立てから種まきまで
一緒に作業していた親戚が「スナップエンドウがどうしても食べたい!」ってことで、ついでにスナップエンドウも種まき。
こちらもジャガイモと同じように、畝幅は約80cm、高さ約10cmの平畝で。
黒のビニールマルチシートを使ってマルチングしています。
植え方は、株間30cmの1条植えですが、こちらも種子が余ったので、畝の途中から条間30cmの2条植え。
蒔き方は全て、1ヶ所に4~5個の点蒔きです。
俺もスナップエンドウ食べたい!!! さっと塩茹でしてパリッと齧りたい!!!
暖地でのエンドウの栽培時期
そもそも僕は、福岡みたいな暖地でスナップエンドウを栽培する時は、10~11月頃に種蒔きして3~5月頃に収穫するのが普通と思っていたので、「2月に蒔くのはちょっと遅くねーか? 大丈夫かな?」とも思ったんですが、よくよく調べてみると
関東と関東より南の温暖地域に於いて、主に10~11月播種、冬を越して翌年3~6月に収穫する秋播き栽培である。一部は2~3月播種、4~6月に収穫する春播き栽培もある。四国と九州の温暖地域では8月播種、11~12月収穫の夏播き栽培も可能である。
*1より引用。太字は記事筆者。
ということで、ここ福岡では2~3月の播種でも全くもって遅くないことが分かります。しかも全然イメージに無かったですが、8月播種で11~12月収穫の夏蒔き栽培も可能であると。意外とシーズンの柔軟性が高いんですねー。
秋蒔き栽培が一般的なことに変わりはないけれど、じゃあ何故このように春蒔き栽培・夏蒔き栽培も可能かと言うと、それは生育ステージと気温の関係に答えがあって。
エンドウは冷涼な気候を好み、暑さに弱い作物である。発芽適温 15~25°C、10°C以上 15°C未満では発芽にかかる日数が長くなるが、発芽率にあまり影響がない。10°C以下と 30°C以 上では発芽率が大幅に低下する。生育適温 15~20°Cで、25°C以上では生育が悪くなり、ツルが枯れ上がり、開花と着莢ができなくなる。また、幼苗期の耐寒性が強く、−5°Cの低温にも耐えるが、開花期に入ると低温被害を受けやすくなり、特に花や幼莢は低温に弱く、3°C以下になると落花、落莢や子実の生育不良が起きる。
*1より引用。太字は記事筆者。
エンドウの花芽分化には低温が必要であるといわれる。すなわち、幼苗期に15°C以下の低温に感応し、花芽分化が起こる。花芽分化後、15°C以上になると開花が促進される。
つまりは
・気温が10~20℃くらいの冷涼な時期に播種・育成を行なうこと。
・本葉が3~4枚までの幼苗期に、15℃以下の低温に当てて花芽分化させること。
という大切な条件を守りさえすれば、暖地での栽培時期は、秋蒔きに固執することもなさそうです。
で、ここでもちろん、「8月播種の夏蒔き栽培なんて、全然涼しくねーじゃん!」と思うのですが、引用している資料にはそれに対する答えが待ってましたと言わんばかりに用意されていて
ただし、幼苗期に低温を遭遇していなくても、茎葉展開期に 15°C前後の温度を接触すれば、花芽が分化して、開花することができるので、温暖地では夏に播種して、中晩秋の 15°C前後の気温に遭えば、開花着莢して、晩秋~初冬の収穫も可能である。
*1より引用。
ということらしいです。
夏が過ぎてもジリジリと照りつける期間が長くなっている昨今、だいぶんリスクの高そうな栽培方法だと個人的には感じてしまいますが、どうしても秋にエンドウを収穫して食べたい時? は試してみる価値があるのかもしれません。
現在の畑の作付と、今後の予定
◎作付状況
今回植え付けした2種類のジャガイモで2畝、スナップエンドウで1畝、全部で3畝を立てている状態です。ジャガイモとスナップエンドウは5月頃には収穫できる算段なので、その時期までは、左側の大きなスペースはこの状態が続く予定です。
◎今後の作業の予定
ジャガイモは、1ヶ月後ぐらいに芽が出て、背丈10cm程に達したら、2~3本まで間引きを行ないます。ただし「素揚げして食べる用にちっこいジャガイモも欲しい!」って言われたので、間引きせずに4~5本のまま育てる場所も実験的に作る予定。間引きあり / 間引きなしで、収穫時にどのような差が出てくるのかとても楽しみです。
スナップエンドウは、発芽して本葉が3~4枚になった頃に、1~2本まで間引きを行ないます。もっと成長してきたら、支柱を立てなきゃなー。
参考にした情報
*1 BSI生物科学研究所, 2023. 「実用作物栽培学」エンドウ.
https://bsikagaku.jp/cultivation/peas.pdf
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