【MELIAMANNAの菜園 vol.0】スタートライン

2024/01/27 2024/05/17

はじめに

サイトを見に来てくれたみなさん、こんにちは!
MELIAMANNA(メリアマナ)代表の有吉です。

MELIAMANNAとは、大学院で植物学について学んだ代表が
”衣食住”に植物を取り入れた暮らしを楽しみ、追求することをテーマとして活動しているサイトです。


今回の記事では、【MELIAMANNAの菜園】と題した連載を始めることにしたので、そのご報告を。

2024年から、親戚が「畑使っていいよー」と言ってくれたのをきっかけに、ささやかなスペースの畑を使って自家菜園に取り組むことにしました。僕自身、農や食の分野に対しては元々興味があって本を読み漁るなどしていましたが、ある程度まとまったスペースで実際に作物を育てるのは初めてのこと。しかも挑戦するのは、仕組みの解明や、農法の確立がまだ完全になされているとは言えない「自然栽培」という農法に近いやり方。そんな畑の初心者が、失敗・学び・そして工夫を本気で繰り返していく過程について、今後発信していくことにします。


初回である『【MELIAMANNAの菜園 vol.0】スタートライン』では
・連載のビジョンや、今後の連載の内容について。
・今後取り組んでいく農法について。また何故そのような農法を選んだのか?
・2024年以降に使用する畑について。面積や過去の栽培歴について。

といった内容を中心に、連載や畑の今後の在り方について深く考えてみようと思います。

【MELIAMANNAの菜園】について

連載のビジョンについて

◎連載のビジョン
【MELIAMANNAの菜園】の連載で、目指していくこと。
それは、畑を実践する中で気づき・学んだ事をこまめにアウトプットして、知識を積み上げていくこと

アウトプットというのは2種類あって、まず1つ目は自分自身に向けて
記憶力ってものは本当にあてにならなくて、例え電気がビビッッと通電するような強烈な閃きを得たとしても、何か他の作業を小一時間こなしただとか、誰かと何かの会話をしただとか、はたまた綺麗な蝶が飛んできてそれを目で追うのに夢中になったみたいに、間に何かしらの干渉が挟まれてしまうと、後々その閃きを再生しようと試みても、ビビッッと通電した時に感じていたような情報の量や鮮度は失われていることが多い。こんなことが続いてしまっては、「そういえばあの時せっかく学んだのにな」と歯がゆい思いをするタイミングが多々到来してしまおうかと思うので、できるだけ閃きの鮮度が良いうちに、農作業の中で気づいたことや学んだことをカタチにして記録しておこうとする試みです。

アウトプットの2つ目は、農の情報を求める誰かに向けて
上に書いたような理由もあって、何か作業をこなしたり、そこで閃きを得たりすると、とりあえずその場でフィールドノートに書き殴って真空パックに封をしているわけだけれど、それだけじゃ何だかもったいない気がする。封をした閃きは、持ち帰って封を切って調理してそれを求める誰かに振る舞うことで真価を発揮するんじゃないか、みたいな。ということで、自分自身に向けて情報を整頓しつつも、そこでカタチになったものが、自分と同じ閃きを求める誰かへと共有できたらいいな、という試みでもあります。

そして、閃いてはまとめ学んではまとめを繰り返し、知識を1段ずつ確実に積み上げていくことで、いつかは、ページを捲れば農に関して何でも学ぶことのできる百科事典のような場所になれたらな、と考えています。


◎執筆のビジョン
先にも書きましたが【MELIAMANNAの菜園】は、自然農を実践する中で気づき・学んだ事をこまめにアウトプットして、知識を積み上げていくための場所。つまりは、季節の移り変わりと共に次から次へと押しかけてくる農作業をこなしつつも、そこで学んだことを逐一アウトプットしようとする試みです。

細部にこだわりすぎたり、話題が横道に逸れまくっていては、全くもって時間が足りませんね。

ということで【MELIAMANNAの菜園】では、農作業の中で気がついたことを、簡潔に、そして写真多めでテンポ良くまとめていくことを目指します。

連載で綴っていく内容について

現段階で考えている【MELIAMANNAの菜園】の内容は、以下のような感じ。

◎作業時期と作業内容の記録
特に植え付け・収穫などといった大きな作業をこなす度に、作業時期と作業内容を事細かに記録しておきます。
作業時期については、記録を数年間かけて積み上げていくことで、自分の畑の環境における収穫日数の目安や、それぞれの作業に最適な時期を探っていく目安になればいいな、と思っています。
作業内容についても、記録を数年間かけて積み上げていくことで、最大限の成果を継続して得るために最適な作業方法を模索していく材料になってくれればいいな、と思っています。

◎作業の成果報告と考察
上のような作業時期と作業内容の記録から、成果をまとめ、それについて考察してみます。
それは例えば「20xx年のジャガイモの収穫日数は○○日で、収量は去年より△△kgアップした。それは〜〜〜という工夫が実ったからじゃないかな?」みたいな。
季節の移り変わりとともに、作業内容が目まぐるしく変化していく農の仕事。それらを次々とこなしていきながらも、紅茶でも啜りながら後ろを振り返る瞬間を大切にしていきたいなと思います。

◎ 畑環境の移り変わりの記録
畑や畑の周辺環境での、作物以外の開花情報、雑草の移り変わり、動物の活動の移り変わりなどについても、記録していこうと思います。
異常気象などの影響もあり、単にカレンダーのみをボケーと眺めていては細かな季節のサイクルを掴めない昨今、やっぱり頼りにすべきは動植物たちで、彼らの活動をよく観察して参考にしながら、作物栽培の適期を気長に掴んでいけたらなと思います。

実践する農法について

お次の話題は、農法について。

今回畑を始めるにあたり、「自然栽培」という農法に近いやり方を選択することにしました。農家さんや家庭菜園などを全てひっくるめた畑において、慣行農法が一般的となっている現代ですが、そんな潮流の中、何故このような選択に至ったかについて深掘りしてみます。

そもそも農法にはどんなな選択肢がある?

ここでひとまず、この世にはどのような農法が存在しているのかをおさらいしてみます。僕が饒舌に語ってもしょうがないので、家の本棚から大事な部分だけちょちょいと引用していきます。

◎慣行栽培
化学合成された肥料と農薬の多投により高収量を可能にする農法。20世紀初頭に化学肥料を工業的に生産する方法が確立されたことにより、化学肥料由来の窒素を大量に使うことができるようになり、作物は窒素不足から解放され、作物の飛躍的な増産が可能になった。

*1を参考

◎有機栽培
有機栽培は、化学肥料と合成農薬の使用を認めず、公的機関で認証された堆肥などの有機質肥料や天物由来の農薬のみを認める栽培である。一方、「有機」という言葉は、生態系、循環、持続可能性、生物多様性、共生などの多様なキーワードを含む非常に幅広い概念であり、化学肥料と合成農薬の不使用以上の意味が含まれている。

*1を参考

◎自然農法
「自然農法」は、1930〜1940年代にかけ、2つの思想とともに実践されていきます。ひとつめは、著書「わら一本の革命」で有名な福岡正信さんによるもの。不耕起、無肥料、無農薬、無除草を基本とし、種を植えずに泥団子の中に入れて蒔くことからもわかるように、人の介入が究極的に少ない野生的な栽培として知られ、世界中から支持を得ています。一方、宗教家の岡田茂吉さんが提唱した「自然農法」は農民が豊かになる根本は「大自然を尊重し、その摂理を規範に順応すること」であると考え、土の力を最大限に引き出す自然農法の理論を構築しました。無肥料、無農薬で自然の力を生かしつつ、生産性を高める除草や耕起を認めています。

*2から引用

◎自然農
「自然農」は1970年代に、川口由一さんが実践を始めた栽培方法です。その三大原則は「耕さない、草や虫を敵としない、持ち込まず持ち出さず」。言い換えると「大地を傷つけず、作物の力を信じ、草や虫とともに育てる。肥料や農薬は用いず、田畑にある生命は全て田畑の中でめぐらせる」とも言えましょう。とはいえ原則に囚われすぎず、状況に応じて米ぬかや油かすを撒くなども柔軟に許容しています。

*2から引用

◎自然栽培
自然界の調和や仕組みの神秘を学び、自然のサイクルに合わせていくことでより豊かさを増していくという考え方のもと、野菜や土が本来持っている力を最大限に引き出すことを目的に、無農薬・無肥料で行う栽培方法です。自然栽培は、除草や耕起も行います。〜途中略〜 人の行いもまた自然の一部であると捉え、できる限り自然に負担をかけないことを前提に、ある程度の収量を見込む。農を生業とするための栽培方法とも言えます。

*2 から引用

これらの他にも星の数ほど農法が存在しますが、名が広く知れ渡っている代表的な農法は、今挙げた5つでしょうか。

慣行栽培・有機栽培では、地域ごとの栽培サイクルや使用できる資材の種類が決められていたりと、栽培して収量を確保するためのマニュアルがしっかりと定められている印象です。その反面、自然農法・自然農・自然栽培では、無肥料無農薬というやり方こそ一致しているものの、「無肥料無農薬の畑ではどのようにして作物が正常に育っているのか?」という仕組みの解明もまだまだ発展途上にあり、栽培そして収量確保のためのマニュアルが地域ごとに確立されているとは言えません。というか、引用に名前があった先人たちからは「そんな細かいこと決めんでも、ちゃんと自然を観察したらやり方分かるから。あとはがんばれよ。」みたいな雰囲気を感じる気もします。

実践する農法と、それを選んだ理由について

このように数多くの農法が選択肢にある中、今回使用する畑では、以下のようなルールを定めてみました。

無肥料無農薬で・できるだけ固定種の種子を使い・種子は直播し・なるべく灌水は行なわず・自家採種を行なう。耕起・畝立て・ビニールマルチ・草とり・機械類の使用は必要に応じて行なう。

もちろん、今後様子を見ながら変更することになるルールもあるかとは思いますが、現時点ではこれでやってみます。農法的には「自然栽培」に近いスタイルかなと思いますが、菜園から得たいものや目指していく未来、そのためにかけられる労力などのバランスを考えながら、色んな場所から良い所を自由に引っ張ってきてミクスチャーした感じです。ただやはりこのような農法では、前述の通り無肥料無農薬で作物が育つ仕組みは解明の途上にあり、また地域の気候等に則った栽培方法の情報などは表の世界に出てくるはずもないので、そこらへんは本やネットを漁ったり人脈を辿るなどして本気で情報をかき集め、その都度実践を重ねていくしかないですね。面倒臭いっちゃあ、面倒臭い。F1の種子や苗を毎年購入して、規定通り肥料を撒いて育てた方がラクだし、結果はある程度保証されてますもん。


ただ、こんな面倒臭さをはっきりと分かっておきながらも、何でわざわざ自然栽培に近いやり方を選択したのかというと

You are what you eat.
(ヒトは食べたものからできている)

だから。

ここから話を広げるととんでもない所まで飛んでっちゃうので今回はやめときますが、簡潔に言うと、生き物としての本来の姿を保っていて、より安心して口にできる食べ物を、少しでも自力で確保していくための知恵やスキルを身につけておきたいよな〜と思ってのことです。

2024年以降に使う畑について

改めて、本記事のタイトルは【MELIAMANNAの菜園 vol.0】スタートラインということで、菜園を始めるにあたって綺麗なクラウチングスタートを切るべく、2024年以降に使用する畑の情報をここでまとめておくことにします。

面積

使わせてもらう畑のスペースは、福岡の田舎にある古い民家の敷地内にあります。
下の方に写真を載せていますが、使用する畑は足元がコンクリートブロックに囲まれていて、大小2つの区画に分けられています。

左側の大きなスペースは、縦6.0m × 横6.2m = 37.2㎡。
右側の小さなスペースは、縦6.0m × 横3.5m = 21.0㎡。
合計は、37.2㎡ + 21.0㎡ = 58.2㎡
尺貫法でいうと「1歩(ぶ) = 約3.3㎡」なので、58.2㎡ ÷ 3.3㎡ ≒ 18歩 といったところです。

民家の横にある畑のスペースとしては、そこそこ十分じゃないでしょうか!

過去の栽培歴と農法

今紹介した畑のスペースですが、ここ2~3年間は耕作放棄地であったため雑草だらけな状態ですが、2~3年前までは家庭菜園として、今は亡き親戚のおじちゃんおばちゃんたちを中心として、毎年利用されていました。

その頃に畑作業を手伝っていた親戚に栽培歴を聞いてみると、ジャガイモ・サツマイモ・トマト・ナス・キュウリ・カボチャ・オクラ・辛トウガラシ・タマネギなどなど、家庭菜園っぽく多品目で少量の栽培を行なっていたみたいです。そして当たり前ですが、特に夏の時期には、すぐに雑草がはびこってしまったり、収穫適期を逃した夏野菜はあっという間に巨大化してしまうので、数人で分担しながら草取りや収穫などの管理をできる範囲でこまめに行なっていたそうです。

その頃の農法としては、話を聞いている限り「慣行栽培」ですかね。出荷するわけではないので、規定通りガチガチに資材を投入していたわけではないと思いますが、畝立ての際や作物の成長期には、必要に応じて化学肥料や石灰などといった外部からの資材を投入していたような様子です。

今回このスペースを菜園として再度利用するにあたって、「自然栽培」に近いやり方に農法をガラッと変更することもあり、本当ならば土壌診断を行なって、土壌成分の量やバランス・pH・微生物量・化学性や物理性などを事前に把握してみたい所ですが、良い依頼先を探すことをサボっているので直近では診断を行なう予定はありません。けど良い場所を見つけ次第、依頼してみたいな!

さいごに

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

連載【MELIAMANNAの菜園】は、農に関する活動の中で、植え付けや収穫などの作業を行なったタイミングや、何か大切なことに気がついたり、ズドンと響く学びをしたタイミングで随時更新していこうと思いますので、どうか今後も、心向くままに読んでみてください。

ではまた!

参考にした情報

*1 杉山修一, 2022. ここまでわかった自然栽培 農薬と肥料を使わなくても育つしくみ. 農山漁村文化協会, 埼玉, 179PP.
*2 Soil mag. ① Autumn&Winter 2021 特集 ”耕す暮らし”の創りかた。

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