チランジア・カプトメドゥーサエの自家採種と種まきに挑戦。発芽率は78.5%と良い感じの結果に!

2025/07/20 エアプランツ

この記事を書いた人

Profile Image

有吉 諒真(ありよし りょうま)

福岡生まれ福岡在住。大学時代を過ごした沖縄にて植物の世界に魅了され、植物学で修士号を取得。現在は"衣食住"に植物を取り入れた暮らしを楽しみ、探求することを目的に活動中。

前回の記事

約1年も焦らされて、やっとメドゥーサの種子ができた

2024年の7月に立派に開花していたウチのチランジア・カプトメドゥーサエ。

その後すぐに花は萎れましたが、「お、なんか種子ができよるっぽい雰囲気あるな」という雰囲気はひしひしと感じていました。というのも花が終わった後、黄緑色をした莢のようなもの(正しい用語は果皮)がニョキニョキと作られていたから。去年の夏が暑すぎてバテてたのか、それともズボラな一面が現れていたのか、その果皮の写真を残していないのが残念。

で、水やりついでにたまーに果皮の観察は続けていたんですが、秋が来ても、冬になって室内に取り込んでも、そしてまた春が来て屋外に出しても、少なくとも目に見える変化はなーんにも感じられませんでした。

「おいおい、もうすぐ梅雨入りしそうやし、あと1ヶ月したら開花から1周年迎えちゃうけど!?」とか思っていた2025年の6月上旬、約1年間も見続けてきたメドゥーサの果皮がパッカーーーンと裂開しました。思わず「おおーやっとか!」って声が漏れた。

メドゥーサの種子をまじまじと観察してみる

裂開した果皮の中から取り出したメドゥーサの種子がこれ。

初めて対面するそれは、3mmくらいの細長い種子の先端にふさふさの冠毛がついていました。エアプランツの種子がこんな形をしているなんて今まで知らなかったし、調べたこともなかったな。

けど少しだけ頭を使えば、エアプランツの種子がこんな形状をしているのは当然っちゃ当然で。

というのも、エアプランツは中米〜南米の自生地では樹上に着生して生育しています。樹上という地上から離れた高い場所で作った種子を遠くまで拡散させるためには、に頼るのが一番でしょうね。上の写真のように約3mmと細かくて軽い種子は、その先端についた冠毛のおかげで風に乗り、フワーーーっと遠くまで漂う。そして降り立ったした先がたまたま生育に適した環境の樹上であれば、そこで発芽して根を下ろし、ぐんぐんと成長していくんだろうなと想像できます。

自然界のデザインは本当によくできています。これこそ神の領域だ。

ちなみに、エアプランツのような着生植物や、地表で発芽はするけれど樹木をよじ登っていくツル植物など、高いところで開花結実する植物では、今回紹介したメドゥーサの種子のように冠毛を持ち、風の力を利用して種子を散布しているケースが多く見られます(風散布)。今執筆しながらパッと思いついたのは、テイカカズラとかセンニンソウとか。綿毛って可愛いよなあ。

メドゥーサの種子を発芽させる方法(発芽率78.5%!)

ここからは、今回僕が実践したメドゥーサの種子の発芽方法を3ステップで分かりやすく紹介してみますね。

特別な道具は全くもって必要なく、どこの家庭のキッチンにもある道具だけで発芽させることができます。簡単なポイントさえ抑えれば普通に成功するので、エアプランツの種子をゲットした際にはぜひ実践してみてくださいね!

1. 発芽の環境を整えてあげる

まずは下準備をして、エアプランツの発芽に必要な環境を整えてあげます。

必要なのは道具はこの3つだけ。
・タッパーなどの容器(蓋付きが好ましいが、なければサランラップなどで代用)
・キッチンペーパー
・お水(水道水で大丈夫)

上手く発芽させるために必須なのは、適度に湿り気が保たれている環境なので、それを再現していきます。

とはいえ、タッパーなどの容器にキッチンペーパーを敷き、水で湿らすだけ。あまりビシャビシャにすると種子が腐るリスクが多少上がると思われるので、あくまでもウェットティッシュぐらいの湿り気で。霧吹きで湿らすのがベストですね。

2. キッチンペーパーの上に種子を並べて保湿

お次は、湿らせたキッチンペーパーの上に種子を並べ、播種していきます。

僕は海外の方が見たら発狂しそうなくらいの几帳面さで並べていますが、ちょっと下調べした時に見た海外のサイトやYouTube動画では、かなりテキトーに、平気で5, 6個の種子が固まっているぐらいバサっとばら撒いて普通に発芽成功していたので、そんなに几帳面になる必要はないと思います。無理せず各々の性格に合わせたやり方でいきましょうw

種子を並べたら、容器に蓋をして保湿しながら発芽を待ちます。蓋のない容器を使用する場合は、サランラップを被せるとかでも全く問題ないと思います。また、完璧に封をしてしまうと空気が循環せずにカビ発生のリスクが上がってしまうと思われるので、軽く蓋をするに留めて完全に密閉しないように心がけています。

つい先日旅行で3日ほど家を空けた時、キッチンペーパーが乾き切るのが怖くてタッパーの蓋をしっかり閉めて出たら、やっぱり2~3個の種子にカビが発生しちゃったので、通気性は必須ですね。

3. 発芽成功!

播種から約1週間ほどで、種子が水を吸収してプクッと膨らみ、種子が裂けていく様子が観察されました。

更に播種から1ヶ月弱ほど経過すると、やっと子葉が観察できるようになり、植物らしい姿になってきました。よく見ればちゃんとエアプランツっぽい形をしている。エアプランツだし、なかなか成長が緩慢そうな予感もしていますが、このまま長い目でお世話して成長を見守っていきます。

今回は144個の種子を播種し、現段階ではそのうち113個が発芽成功しました。
発芽率 = 113 ÷ 144 × 100 ≒ 78.5%となりました。まずまずの結果なんじゃないでしょうか! 嬉しいぜ!
発芽はしたけど上手く成長できずに枯れていってしまう個体も今後出てきて、生存率は今よりも多少下がるでしょうが、できる限りのお世話をがんばります。

ちなみに今回ウチのメドゥーサから採種した種子のうち、播種したのは半分だけ。というのも採れた種子の数があまりにも多くて「俺だけじゃ手に追えーん!」とチキってしまい、残りの半分はお友達にサプライズで送りつけました。こんな突拍子もない俺の行動にも「タネまいたよー!」って嬉しそうにDMしてくれたお友達! いつもサンキューです!

関連記事

〈エアプランツ〉のタグがついた記事一覧はこちらから

上部へスクロール