もくじ
はじめに
サイトを見に来てくれたみなさま、こんにちは!
MELIAMANNA(メリアマナ)店主の有吉です。
MELIAMANNAとは、大学院で植物学について学んだ店主が
”衣食住”に植物を取り入れた暮らしを追求すことをテーマとして
2023年に立ち上げたサイトです。
今回の記事では、青く光り輝く葉が魅力的なシダの一種である
コンテリクラマゴケ(Selaginella uncinata)について紹介しています。
とあるタイミングで偶然見つけたコンテリクラマゴケ。
その魅惑的な姿に感動してその場に這いつくばって写真を撮りまくり
更には家に帰ってネットで詳しく調べてみると
コンテリクラマゴケには、鑑賞的な価値のみならず
薬草(漢方)としての民族植物学的な利用価値があることを知りました。
たまたま目に入ってきたような植物でも、調べてみると何かしらの利用方法があるなんて
人間と植物の関係は本当に奥深いものだと感じますね。
さて、今回のコンテリクラマゴケに関する記事は、二本立てにしています。
その一本目である本記事では
・コンテリクラマゴケはどうしたら上手く育てられる?
・コンテリクラマゴケはどのように鑑賞する?
といった鑑賞的な価値に絞ってお送りします。
ぜひ読んでみて下さいね!
青い森林
まずはじめに、僕がコンテリクラマゴケに出会った時のお話について。
とある10月の早朝、涼しさに身を任せて近所の山に登ろうと思い立ち
コンクリで気持ちばかりの舗装がされた林道をゴトゴトと走っていた時のこと。
「やっぱ森の空気気持ちいいーーーー!!!」
とか思いながら、車の窓を全開にして緑いっぱいの眺めを楽しんでいると
突然、この写真にある景色が目の前に現れました。
「ええーー!!! なんか青い!!!」と初めて見る光景にびっくり。
早く山に登りたい気持ちは、これが何なのか知りたいという好奇心にはどうしても勝てず
車を降りて近くで見てみることに。
もうせっかくなので登山靴に履き替え、少し急な斜面を降りて行くと
この青い植物が林床にびっしりと敷き詰められていたのです。
近くまで寄ってよーく見てみると
早朝の柔らかい光を受けて青く反射する葉はあまりにも魅惑的で
そのまま地面に這いつくばって(登山の服装で良かったーw)
思う存分バシャバシャと写真を撮りまくったのでした。
まだまだシダの種類に明るくない僕は、その場ではこの植物の名前が分かりませんでしたが
後で家に帰って、撮った写真を眺めながらささっとググってみると
これはコンテリクラマゴケの名を持つシダ植物だということが分かりました。
コンテリクラマゴケについての簡単な紹介
ここでひとまず、コンテリクラマゴケについて簡単に紹介してみましょう。
和名:コンテリクラマゴケ(紺照鞍馬苔)
英名:Rainbow Moss
学名:Selaginella uncinata
分類:イワヒバ科 Selaginellaceae
原産:中国
環境:林床。遮光された光と高い湿度を好む。
◎それぞれの名称について
コンテリクラマゴケ(紺照鞍馬苔)という和名の由来は
葉の表面が紺色で光沢があることから*1 だそうです。
日本には元々、クラマゴケ(鞍馬苔)というシダ植物が存在するので
その色違い見つけた!みたいなノリで命名したんでしょうか。
英名はRainbow Mossの名がついています。
先端部分をよく見ると、青→黄緑→黄色→オレンジのグラデーションがあるので
それをRainbow(虹)に見立てたのかなー?と僕は思ったのですが
ちゃんとした由来は分かりません。
◎原産地について
中国南部から西南部に分布する。日本には観賞用に持ち込まれ、あちこちで野生化している。*1
とのことです。
今回僕が福岡の山の中で見つけたように、関東より西の地域では普通に見られる植物ですが
本来は、人によって日本に持ち込まれて野生化した、帰化植物なんですね。
◎生育環境について
林床に生育しています。
株は上に立ち上がらず、地面を横方向に這いながら成長するので、マット状になります。
林床とは、森林の地表面にあたる部分のこと。
高い木々によって太陽の光は遮られるため、薄暗く、ジメジメとした環境です。
コンテリクラマゴケを上手に育てるためのコツ
◎住と植物
MELIAMANNAでは、植物を”生活を共にするパートナー”と捉え
住まいを植物で彩るためのアイデアや、植物を上手に育て上げるための知恵を発信しています。
今回はせっかくなので、コンテリクラマゴケの栽培のコツについて書いてみようと思います。
まずMELIAMANNAでは、植物を上手に育てていくためには
その植物が本来生きている環境を想像してみようということをお伝えしています。
というのも、植物も生き物なので、環境の得意不得意があるからです。
その植物が本来生きている環境、つまりは得意な環境を理解してあげて
それをイメージしながら水をあげたり、太陽に当てたりすることで
植物を元気に育て上げることができるのです。
水やりについて
コンテリクラマゴケの紹介の所で少し触れましたが、この植物が生育している環境は
森林の地表面にあたる場所である、林床。
高い木々によって太陽の光が遮られているため、地面の水分が蒸発しにくく
ジメジメとしている環境です。
シダ植物は全般的に、このような環境に生育している傾向にありますね。
これから分かることは、コンテリクラマゴケは水や湿度を好む植物であること。
したがって、水やりをする際には
・土の表面が乾きそうなタイミングでたっぷりと水をあげること
・こまめに葉水を行なうなどして、高い空中湿度を保つこと
を心がけてあげましょう。
日当たりについて
繰り返しになってしまうのですが、コンテリクラマゴケが生育しているのは林床。
高い木々によって太陽の光が遮られているため、薄暗い環境です。
シダ植物は全般的に、このような環境に生育している傾向にあります。
これから分かることは、コンテリクラマゴケは遮光された光を好む植物であること。
したがって、置き場所や植え込みの場所を決める際には
・屋内であれば、レースカーテンなどで遮光された場所に置くこと
・屋外であれば、一日を通して直射日光の当たらない明るい日陰に置くこと
を心がけてあげましょう。
コンテリクラマゴケの鑑賞方法について考えてみる
お庭のグラウンドカバーとして
コンテリクラマゴケの紹介のところでも少し触れましたが
この植物は上に向かって成長するのではなく、地面を横方向に這いながら成長していきます。
そして、僕がコンテリクラマゴケを見つけた時の写真を思い出してもらうと分かりやすいですが
成長すると、敷き詰められた青い絨毯のように、地面一面を覆うようになります。
一面をびっしりと覆うようになるまでに何年かかるかは定かではありませんが
青く輝く葉がお庭に敷き詰められている情景は絶景であること間違いなし!!
屋外で上手く育てるためには
・関東より西の地域であること(越冬させるため)
・一日を通して直射日光が当たらないこと(強い光に弱いため)
といった条件はありますが、試してみる価値、ありそうです。
鉢植えとして
コンテリクラマゴケは、もちろん鉢植えとしても楽しむことができます。
ただし上方向ではなく、横方向に向かってぐんぐんと伸びていく植物。
通常の鉢に植え込むと、横に伸びた葉はすぐに飛び出してだらしなくなるので
ハンギング鉢を用いて、鉢から飛び出た葉を下に垂らしながら楽しむのが最適かもしれません。
テラリウムとして
最後に提案する鑑賞方法は、テラリウム。
テラリウムとは、ガラス瓶やガラスケースを用いて
完全密閉、あるいは半密閉の状態で植物を育てていく方法です。
テラリウム最大の利点は、なんといっても空中湿度を保つことができること。
鉢植えの状態で、ジメジメとした環境が好きな植物を育てていくためには
こまめに葉水を行なってあげたり、土の水分状態に常に気を配る必要があったりと
管理には何かしらの手間がかかるものです。
しかしテラリウムでは、密閉された空間で空中湿度を保つことができるため
ジメジメした環境を好む植物を、とてもイキイキと育て上げることができます。
先ほどからお伝えしてきたように
コンテリクラマゴケはジメジメとした林床に生育しており、高い湿度を好む植物。
(完全密閉された空間で育てられるかどうかは試してみる必要がありますが)
テラリウムを使って育てていくと、美しい姿を楽しむことができるでしょう。
さいごに、そして二本目の記事
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
植物の葉は緑色だという固定概念をぶち壊してくれる、コンテリクラマゴケ。
青色に輝く美しい葉姿を、みなさんもぜひ楽しんでみてはいかがでしょう。
観賞用に販売されている植物ですので、見かけた際はぜひゲットしてみて下さい!!
そして、今回はコンテリクラマゴケについて二本立ての記事でお送りしていますが
次回の記事では、薬草(漢方)としての民族植物学的な利用価値に焦点を当てています。
すこし専門的な内容にしていますが、薬草としての植物利用に興味のある方は必見です。
ではまた次の記事で!