【How to 自家採種】オクラ(アメリカネリ)の種採りをする方法

2024/09/22 2024/10/27 オクラ 自家採種 自然栽培

はじめに

サイトを見に来てくれたみなさん、こんにちは!
MELIAMANNA(メリアマナ)代表の有吉です。

MELIAMANNAとは、大学院で植物を学んだ代表が”衣食住”に植物を取り入れた暮らしを楽しみ、探求することをテーマとして活動しているサイトです。


今回の記事は、オクラの種採りをする方法について。

自分が現在お世話している自然栽培スタイルの菜園では、2024年の夏作で〈ダビデの星 Star of David〉という何とも象徴的な名を持つ固定種のオクラを栽培してみました。そんなオクラの果実が完熟したのを機に種採りを実践したので、その過程を具体的に解説します。

自家採種の中でも、オクラは一番と言っていいほど難易度が低い作物です。特に何かせずとも放置していれば種採りができてしまうので、この記事を読んで興味が出てきた方はぜひ挑戦してみてください〜!

オクラから種採りをする手順

1. 果実を完熟させる

はじめに、オクラの果実を完熟させます。

この目的は、種子を成熟させること。果実および種子が成熟しないまま収穫を行なうと、いくらそのような種子を採って保存し、いくらそのような種子を播いたとしても発芽は期待できません。これは、未成熟な動物に生殖能力が無いのと同じ話ですね。

完熟させる方法は、オクラの株に果実がなった状態のまま完熟するまで待ちます。僕たちがいつも食べている緑のオクラは未熟な若い果実なのですが、それを余裕で通り越し、果実が肥大化してガッチガチに硬くなってもまだ放置、最終的に茶色く変色してカラカラになったタイミングで収穫するということです。この状態まで来ると剪定鋏でもなかなか切断できないほど繊維質になり、また果実が裂開して中から種子が顔を覗かせます。写真によーーーく目を凝らすと、裂け目の中から黒い種子が見えるはず!

2. 種子を取り出す

次に、完熟した果実を割って種子を取り出します。割るだけなので簡単です。

ちなみに今回用いたオクラは1株で、そのうち2番果および3番果から種採りを行ないました。本来であれば、遺伝子の多様性的にもう少し株数を増やした方がいいのですが、2024年の夏作では幼苗がネキリムシにやられてしまったせいで、種採りに使いたい株、つまりは屈強で・背が高く・形の良い果実をつける株が1つだけしか残りませんでした。来期はしっかりとネキリムシ対策をしよう。

3. 選種 せんしゅ / 水選 すいせん

次に、選種(せんしゅ)を行ないます。

選種とは、中身が詰まっていないなどの質が悪い種子や、混入した異物などを取り除き、質の良い種子のみを選抜する作業のことを指します。

オクラの場合は水選(すいせん)と呼ばれる方法を使用し、成熟して中身の詰まった質の良い種子と、中身がスカスカで質の悪い種子や未成熟で軽い種子を、重さによって選別します。

水選の方法は、適当な器に水を張り、取り出した種子を投入するだけ。しばらくすると、中身の詰まった質の良い種子は水底へと沈んでいくのに対し、中身がスカスカで質の悪い種子や未成熟で軽い種子は水面を漂い続けます。2~3時間も置いておけば、全ての種子が選別されるでしょう。あまりに長い時間水に浸けていると発芽してしまうことがあるので注意です。

4. 乾燥

次に、水選によって選別した種子を乾燥させます。

方法は、風通しの良い日陰で種子を広げて1週間くらい置いておくだけ。日陰ではなく天日干しのスタイルもあるようです。ちゃんと乾燥できればどちらのスタイルでもいいんじゃないかと思います。

乾燥が甘いと、後に種子を保存する際にカビの発生にも繋がりかねないので、しっかりと乾燥させておきましょう。

5. 発芽試験

次に、発芽試験を行ないます。来期の種まきに備えて発芽率を把握しておくための工程ですが、種子を販売するなどしない限り必須ではないので、面倒臭ければ飛ばしてしまっても構いません。

本来であれば〈インキュベーター〉〈恒温器〉という名の温度管理ができる機械を用いるのがベストなのですが、何せ高額で手が出ないので原始的なアプローチでいきます。

発芽試験に必要なものは以下の3つ。
1. シャーレ・小皿・タッパーなど。
2. 濾紙・脱脂綿・キッチンペーパーなどの発芽床。水分を含むことができれば何でもいいです。
3. 蒸留水。

手順としては、シャーレや小皿に発芽床を敷き詰めて蒸留水で湿らせ、そこにランダムに抽出した種子を並べ、室温で経過を観察します。露地でキュウリが採れるのは気温の高い夏なので、加温せずとも室温で十分に発芽します。それから、例えば〈3日後・6日後・9日後…〉〈7日後・14日後・21日後…〉とかで区切りつつ発芽率を算出すればいいかと思います。発芽率がこれ以上上昇しなくなったらそこで確定と。

こちら現在試験中なので、発芽率が確定したら追記したいと思います。

6. 種子の保存

さいごに、種子を保存します。

方法は、乾燥させた種子を封筒に入れて冷蔵庫の中で保管します。冷所にて保存すると種子は休眠するので、常温で置いておくよりも保存期間を長くすることができます。また封筒には、作物の品種の名前や、種採りをした年月日を記載しておくことを忘れずに。こうした細かい作業は、種子を播こうと冷蔵庫を漁っている未来の自分を必ず助けてくれます。

冷蔵保存した場合におけるオクラの種子の寿命は自分の勉強不足でまだ不明なので、信頼のできる情報を手に入れ次第、追記することにしますね!

より長期間保存したい場合は冷凍保存するやり方もあるので、そちらが知りたい場合はぜひ本を読んだり、ググったりしてみて下さい!

さいごに。自家採種という行ないについて。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

こんな実用的な知識の詰まった記事をコツコツと積み上げていくことで、いずれはこの場所が、同じような知識を求める者が集まる学び場になれたらなと思っています。

僕自身、野生の植物にも各地方の風土に適応した変種が存在したりするように、個々人の畑でも、あるいは近隣のコミュニティでも、自家採種を行ないながら各地域の風土に適応した作物を栽培するのが当たり前だと思っています。ただしそんな当たり前は、その大切さを理解し、行動する人間が居なければ、いとも簡単に風化してしまうもの。

だから、もしもこのような行ないに興味が湧き上がってきた皆様、ぜひ計画を立てて行動に移してみてください! 今すぐに!
そして、このような行ないを既に実践されている皆様、とても厳しい気候の中ですが、気合を入れて継続していきましょうね。

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