園芸植物にも適地適作があるんじゃない? 観葉植物から盆栽へと大胆に切り替えたくなっている話。

2025/02/28 2025/03/21 盆栽

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有吉 諒真(ありよし りょうま)

福岡生まれ福岡在住。大学時代を過ごした沖縄にて植物の世界に魅了され、植物学で修士号を取得。現在は"衣食住"に植物を取り入れた暮らしを楽しみ、探求することを目的に活動中。

はじめに

僕は鉢植えで園芸植物を育てることがとっても大好きです。

今この文章を書きながら部屋の中をチラ見しただけでも、パンダガジュマル、パキラ、アデニウム、エバーフレッシュ、フィカス・ベンガレンシス、ユーフォルビア・オベサ、ユーフォルビア・ビグエリー、ユーフォルビア・メロフォルミス、ハオルチア・十二の巻、そしてエアプランツの面々など、多種多様なメンツが揃っていることが分かります。

そしてさらに部屋から繋がるベランダに目を向けてみると、柊(ひいらぎ)の盆栽、楡欅(にれけやき)の盆栽、藪柑子(やぶこうじ)の盆栽、コバノカンアオイの盆栽、セッコク、ソテツ、ディッキア・ムーングロウ、ディッキア・ターザン、ディッキア・ノーススター、アロエ・翡翠殿、朧月などなど、ここにもいろんな表情を持ったメンツが鎮座しています。

こうして熱帯〜温帯までありとあらゆる原産地の、そして多肉植物・葉物の観葉植物・エアプランツ・盆栽など様々な系統の植物と長年一緒に暮らしているぐらいには、僕は植物がとっても大好きなんです。


しかし…..

ここ最近になって、観葉植物(特に葉物の観葉植物)は思い入れの強い子以外を手放してしまって、盆栽を楽しむ方向へと大胆に舵を切ろうかな、との思いが日に日に強くなっているのを感じます。

で、自分がそう思うようになった理由をよく考えてみると、冬のある日本では盆栽の方が1年を通して楽しめそうだから、との答えが出てきました。

やっぱり、例えばパキラやエバーフレッシュのような熱帯〜亜熱帯原産の葉物植物は、いくら近年の暖冬と言えども寒さで調子を崩して逝っちゃうリスクで常にヒヤヒヤするんですよね。反面、温帯原産の植物が大多数の盆栽はその心配がほぼゼロなのに加え、冬の立ち姿もたいへん凛々しい。つまりは園芸植物の適地適作ですね。というわけで、ここ日本で鉢植えで植物を楽しむには、盆栽の方が向いているんじゃないかと個人的に思ったんです。


とまあ結論はこんな感じなのですが、これだけじゃつまらないので、「過去の自分のどんな経験がこの結論をもたらしたんだろう?」みたいなことをずっと考えていました。

すると、園芸植物でも適地適作を大切にし、観葉植物から盆栽へと切り替えようと思った背景として
・以前沖縄に住んでいた頃、パワフルで美しすぎる熱帯植物の姿を見てきたこと
・沖縄から福岡に連れてきた観葉植物が、冬に明らかに調子が悪そうなこと
の2つの影響がかなり大きいなと思いました。

そこで今回の記事では、そんな2つの背景を写真を交えて深掘りしながら、園芸植物の適地適作について考えることにしてみますね。

パワフルで美しい沖縄の熱帯植物

僕は大学・大学院と沖縄に6年間住んでいました。2017~2023年ぐらいですかね。

沖縄ってとにかく自然が魅力的すぎる土地なので、都心で遊ぶだけでは飽き足らず、友達と一緒にキャンプに行ったり、山の中を探検したり、ひたすら川を上流まで登ってみる遊びなんかもしていましたw

そうして生い茂る亜熱帯の自然と遊ぶ中で、いつの間にか植物に対する莫大な興味や愛が開眼していて、やがて部屋は観葉植物まみれになり、大学では植物の研究をして、それでも興味は全く尽きずに現在の活動に至ります。

沖縄で育っている植物って、こうして誰かを開眼させちゃうぐらいにはパワフルで美しいと思うんですよね。それが自然のど真ん中だろうと、ふと散歩がてら通った民家の庭先だろうと。

ちょっとまあ、続きを読んで写真を見てくださいよ!!!

散歩道から

沖縄の散歩道ってハンパじゃないほどの魅力を持っているんですよね。植物の存在が視界に入っているタイプの人間であれば、尚更だと思います。

何が魅力なんだと問われれば、それは絶対に、熱帯・亜熱帯の植物がピッチピチで元気が有り余っていること。道路脇に地植えされている植物も、民家の庭先で大事にされている鉢植えも、そして民家の庭先で雑に扱われている鉢植えであったとしても。

Euphorbia milii 20241122
Aglaonema sp 20241122
Calliandra inaequilatera 20211212
Crossostephium chinense 20221001
Asprenium nidus 20241122
Ficus microcarpa 20221227
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この植物たち、ハリツヤがヤバくないですか? 沖縄の気候が本来の居場所なんだなーってことがグイグイと伝わってくる。特に最後の写真でガジュマルが壁に張り付いている光景なんか、意味わからん。僕が住む福岡を含めた日本本土で「冬は部屋の中に取り込んで……気温の下がる夜に向けて部屋をしっかり加温しておいて……」みたいにして無理やり育てられている植物たちとは美しさがまるで違うと感じます。

僕は園芸を始める前から、こうしてただ散歩していただけで、謂わば観葉植物の本来の姿みたいなものにいつの間にか触れちゃってたみたいです。

自然界から

お次は沖縄の自然界から。みんなこぞって海に行きがちだけど、亜熱帯の森の中も魅力的なんですよね。

ここまで壮大な自然については、語れば語るほどチープになっちゃう気がするので写真だけ。

Ficus microcarpa
20210430
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Phaius tankervilleae
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植物園から

ここまで写真を見て、亜熱帯の植物の姿に心が傾きかけているそこのあなたにぜひ訪れてほしいのが、熱帯ドリームセンター

沖縄を訪れた誰しもが条件反射で訪れる超人気スポット美ら海水族館、のすぐ隣でひっそりと、あなたがやってくるのを待ち構えています。美ら海の存在感がデカすぎて、全くもって脚光を浴びていない熱帯ドリームセンターですが、一歩足を踏み入れると熱帯・亜熱帯植物のパワフルさに圧倒されることでしょう。僕的には好きな植物園ランキング堂々の一位です。

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離島から

これは過去記事ですが、久高島という、沖縄の南城市から船で30分足らず進んだ場所にある離島を訪れた時のお話です。

僕にこの島を紹介してくれた人たちは皆「久高島は植物のパワーがえげつないんだよ! 実際行ってみたら絶対わかるから!」と口にしていたんですが、実際に行ってみると「その気持ち、わかる!」と思いました。沖縄本島の植物と比べてみても、何だか綺麗で威勢が良くて葉が分厚いような感じがするねと、直感がそう言っていました。

御嶽(うたき)が数多く残る島に充満する神聖な雰囲気も相まって、今でも記憶が鮮明に残っている不思議な旅でした。

福岡にやってきて調子悪そうな植物たち

こんな最高植物ライフだった沖縄生活も束の間、大学院卒業のタイミングで生まれ故郷福岡へと帰還することになりました。もちろん、沖縄で大切に育てていた観葉植物たちも一緒に(多すぎて友達に譲ったりもしたけど)。


でねー、やっぱ冬にめちゃくちゃ調子悪そうなんですよ

いや、ちゃんと知ってるよ? ガジュマルとかパキラとか、決して寒さに強いわけじゃないって。

けれど、亜熱帯の沖縄でギラギラと輝いている本来のガジュマルやパキラの姿を知っている自分からすると、福岡みたいな温帯地域にやってきて、冬に落葉しちゃって明らかに調子悪そうな姿を目の当たりにすると、どうしても可哀想に思っちゃうんですよね。「あー、君らにとって心地良くない場所に連れてきちゃったね」みたいな。

パンダガジュマル

下の写真は、沖縄から福岡に連れてきたパンダガジュマルの2025年2月ごろの様子。この子、園芸を始めていちばん最初にお迎えした思い入れの深い観葉植物です。

温帯では落葉する光景は当たり前なんだろうけど、やっぱりなんだか可哀想って思っちゃう。本来は常緑の植物で、1年中濃い緑の葉っぱが輝いているんだもの。

あと、常緑の植物が無理に落葉しようとすると、めっちゃ中途半端なルックスになっちゃうなーって感じます。

パキラ

こちらは、さっきと同様に沖縄から連れてきたパキラの2025年2月ごろの様子。種子から大切に育ててきました。

この子も、心地よい場所に居ない感をとても強く感じる。もちろん、福岡に来てまだ2年ぐらいだから耐寒性がついていないってのもあるだろうけど…。

アデニウム

最後に、これも沖縄から連れてきたアデニウムの2025年2月ごろの様子。

しっかり枝枯れしちゃってますね

2024年の夏は超元気で綺麗に開花もしたけれど、この年は夏からいきなり冬が来たような感じだったから、急な寒さに対応できずにダメージ受けちゃった感じがしましたね。こうなるリスクが怖いのよ。

Adenium sp 20250214_1
Adenium sp 20250214_2
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園芸を何年も続けていれば栽培技術も上がるので、寒さで株全体をダメにしちゃうようなことはなくなってきます。けれどやっぱり、適地適作ができていなければ、冬越しさせるための手間も増えるし、こうしてダメージを与えちゃうリスクに常にひやひやしないといけないしで、個人的には面倒くさいと感じてしまいますね。沖縄でかなり楽に観葉植物を育てていた経験がある分、なおさら。

熱帯や亜熱帯の植物を無理して頑張って育てるぐらいなら、冬に屋外に放置してもへっちゃらなぐらい耐寒性が高い植物とか、盆栽のように温帯原産の植物を楽しみたい。つまりは園芸植物の適地適作を追求していきたい。最近はそんな感情になってきてるんです!

というわけで、ウチに盆栽たちが増えています

水やりさえできるようになって仕舞えば、盆栽が一番楽だなと思います。

当然の話ですが、盆栽は日本の文化。つまり日本にも自然に生えている植物を鉢植えで楽しみます。究極の適地適作。

日本の冬などへっちゃらだし、最近の夏の酷暑でさえも意外とへっちゃらそう。気候に負けるリスクをあまり気にしなくてもいいので、剪定とか、そういう細かい部分に振り切って楽しむことができています。

またさっきの写真で中途半端に落葉していたパンダガジュマルとは対照的に、楡欅(にれけやき)のような落葉樹は潔く葉が落ちるので、冬が来て露になった樹形が優美です。また柊(ひいらぎ)や藪柑子(やぶこうじ)などの常緑樹は冬の間も青々しい葉を輝かせるので、これまた鑑賞価値があります。つまり1年中眺めてられる。これって結構大切なことだと思うんですよね。

オマケで写真を載せてますが、盆栽以外ではディッキアとかも、冬でも屋外に放置でき、かつカッコいいのでお気に入りです!

Osmanthus heterophyllus 20241128
Ulmus parvifolia 20250228
Ardisia japonica 20250228
Asarum variegatum_6
Dyckia 'Tarzan' 20250214
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さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございました!

今回の記事では、僕が個人的に
・沖縄の地で観葉植物の本来の輝きを見てきたこと
・植物を沖縄から福岡に連れてきたけれど、冬にめっちゃ調子悪そうなこと

という2つの経験をしてきたことから、園芸植物にも適地適作があるんじゃない? と最近感じている話について書いてみました。これ、あながち間違っていないと思ってます。

それに、園芸をはじめとする趣味全般に対する僕のモットーは「できるだけラクをしながら長く楽しむ!」なんです。なぜなら趣味は一生モノだから。ラクができずに大変が連続しちゃうと長く楽しめないし、ラクがあるからこそ、ここぞの場面で気合を入れられる。

だから福岡の僕の家には今後、気候の面でラクに育てられる盆栽たちがどんどん増えていくことになるでしょう! ラクに育てられるからこそ、剪定とか樹形造りに気合いを入れられると。


沖縄での園芸も楽しかったけど、福岡での園芸もこれから益々楽しみだな! 欲しい盆栽がありすぎるよ!

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