心惹かれる沖縄の植物たち @久高島

2023/06/19 2024/04/09 沖縄

はじめに

サイトを見に来てくれたみなさま、こんにちは!
MELIAMANNA(メリアマナ)代表の有吉です。

MELIAMANNAとは、大学院で植物学について学んだ代表が
”衣食住”に植物を取り入れた暮らしを楽しみ、探求することをテーマとして
2023年に立ち上げたサイトです。


今回の記事は『心惹かれる沖縄の植物 @久高島』というタイトルです!

以前に自己紹介記事の中で、私のこれまでの歩みについて書いたのですが、そこでは
・なんとなくの直感で沖縄の大学に進学してみて、そこで6年間過ごしたこと
・沖縄の大自然の中で遊ぶうちに、植物が大好きになったこと
・やがて、部屋の中が植物まみれになっていたこと
・大学院で植物の研究をするうちに、またまた植物が大好きになっていったこと
といった経験について紹介してみました。

うんうん、我ながら、本当に密度の濃い貴重な体験をしたと思います。
直感はぜったいに裏切らない!!

それで今回の記事の内容は、私がこうして沖縄に住んでいた時に
久高島という、沖縄本島南部から東に進んだ所にある離島に赴いた時のお話。
『心惹かれる沖縄の植物』というタイトルをつけている通り
久高島では植物を含めた大自然が放つ力にとにかく圧倒されることになります。


では早速、写真と共に久高島で1日過ごした体験を皆さんに伝えてみますね!!

、、、と言いたいところですが
私が久高島に行くきっかけとなった、小さいけれど大切な出来事があるので
まずはじめに、その出来事について書いてみますね。
馴染みのない方もいると思いますので、久高島の簡単な紹介もしてみます。

久高島について。
そして、行くきっかけになった出来事。

まずは、久高島について簡単に紹介してみます。

久高島とは、沖縄本島南部の南城市という町から
フェリーで東へ25分ほど進んだ所にあるとても小さな島です。
もしもノンストップで歩けば、1周するのに1時間半しか要らないくらいの。
島の形は縦長で、その南部に小さな集落があるだけで、残りは森と海と畑。
島の至る所には、御嶽(うたき)や拝み所(うがんしょ)などの聖地が存在しています。

フェリーで久高島の港に到着すると、皆んなちゃりんこや電動スクーターを借りてから
島の中を思い思いに巡っています。中には、自前の自転車をフェリーで持ってきてる人も。
もちろん、俺みたいに徒歩で巡ってもよし。
心地よい海風と手付かずの自然を肌に感じながら、島の隅々まで思う存分堪能できますよ。

それと、自分はまだまだ勉強不足なので、ここでは多くを語れませんが
琉球神話では、久高島最北端のハビャーンに創世神アマミキヨが降臨したとされていることや
古来から続く神事の一部が現在でも執り行われていることなどから
久高島は民俗学的にたいへん重要な島とされており、「神の島」とも呼ばれています。
実際に島の中を歩いていると、点在する聖地で祈祷を行なう方々の姿も見られました。

もしも、琉球の神話や信仰などについて興味がありましたら
記事の最後にサイトや本のリンクを貼っておりますので、追いかけてみて下さい〜。


壮大な世界へ向かってちょいと話が逸れかけましたが、久高島の紹介はこれくらいで。

次は、沖縄に居た頃の私が久高島に行こうと思ったきっかけについて書いてみますね。

きっかけ、とは言ってもそれは一大事でも何でもなく、立て続けにヒトに勧められたから。
以上です。。。

けれどね。
よくよく考えてみると、ある1つの場所を立て続けに勧められることなんてそうそう無くて
これは人生が「このタイミングで久高島に行っとけ」って言ってきとるっちゅうことやな
と解釈。アルケミストで言うところの”前兆”というやつでしょうか。
すぐさま予定表・天気予報とにらめっこしつつ、2023年1月のある快晴の日に
体に無理言って早起きしてもらい、久高島に向かいました。

2023年とは、私が沖縄で過ごした6年間の最後の年。
しかも、2023年の3月にはもう福岡に帰ることに決めていたから
久高島に行くことになったのは、ほんとうにギリギリのタイミング。
それまでは「釣り好きの友達がよく行ってんなー」ぐらいのイメージだった島に
こうして自分が導かれていくなんて、人生なんとも不思議なものです。

そして久高島に向かうとなった時、とても楽しみだったのがその大自然。

久高島を勧めてくれた人は、親戚だったり、友達だったり、元恋人だったり
行きつけの植物屋でたまたま出会った店主の親戚の人だったりするのですが
最後に出てきた植物屋店主の親戚が言うには
「久高島は植物のパワーがえげつないんだよ!!」
「何だか久高島の植物は勢いがすごくて生い茂ってるんだよ!!」
「いや、実際行ってみたら絶対わかるから!!」
ということでした。

もう、こんなこと言われたら自分で確かめに行く他ありません。

ということで、久高島へいざ上陸!!

久高島で出会った植物たち。
このオーラは現実? それとも幻?

時刻は朝の8時半ぐらい。

フェリーが着港し、久高島の地に降り立った瞬間、、
というか、船が港へ向かってアプローチしている瞬間から
海岸線の岩場に生い茂っている植物のオーラが、普通とは違うことに気が付く。
何だか言葉では説明できないけれど、何だか違う。
緑の深さ? それとも樹勢? いや、他に気づけていない事があるんだろうか?

一旦、この感覚はバイアスだ、ということにしてスルーしてみる。。。

で、まずは集落。
そこは、のほほーーーーーーんとした空気感で満ち満ちていて
どこか適当な琉球古民家に転がり込ませてもらって
まだまだ朝なのに昼寝でもしたくなるような気分。
普段は次へ次へを目指してひた走る脳みそだけど、この集落を歩いていると
結跏趺坐で今現在にギュインと戻ってこれるような、そんな感じ。
そしてある民家のお庭には、俺の大好きなカニステルというフルーツが生っていて
塀の外側から手を伸ばしたいイリーガルな欲求を必死に抑えつつ、集落を抜ける。

集落から外れて北に向かって進んでいくと、道の数は極端に少なくなっていく。
島の真ん中を、最北端のハビャーンまで続く1本道がスコーーンと走り抜けていて
その脇に細い未舗装の道が数本走っているくらい。

今回は、特に地図もちゃんと見ないまま、直感に従って適当に歩いてみる。
最初はどうやら海岸に沿った道を歩いていて(海岸に沿った道がほとんどなんだけど)
定期的に現れる聖地のガイド版を読み込み、そして見学させてもらいながら
北へ北へと向かって歩みを進める。

モンパノキ

ここでやっと植物の話になるんですが、初めに紹介するのは、モンパノキ
紋羽の木とも書きます。
”紋羽”とはいわゆるビロードのことで、黄緑色の葉っぱを触ってみると
その名の通りフッカフッカしていてとても気持ちがいいのです。
熱帯地域が出身の植物で、海岸の砂浜や岩の上という環境を好みます。
観賞用で売られているのはまだ見たことがないですが
『沖縄の盆栽入門』という書籍では、石付きになったモンパノキの姿を見られますよ〜。

さて、久高島の海岸で見かけたモンパノキはというと、、、
うーーん、普段見るものよりも、やっぱり威勢がすごくいいように感じる。
葉っぱがシャキッとしていて、照りが綺麗で、樹勢が良いように感じる。
これは現実? それとも、バイアスが創り出してしまった幻なのでしょうか??

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何だか威勢がいいような気がする、モンパノキ

そんなモンパノキを横目に、また北へと向かってスタスタと歩いていく。
先程と同じように、途中途中に出現する聖地に立ち寄りつつ進んでいくと
やがて道は融合して、ハビャーンへと続く1本道だけになってしまった。

ビロウ

この1本道沿いは”ビロウの杜”と呼ばれていて
その名の通り、道の左右に広がる杜には、ビロウというヤシの仲間の植物が
またここでも目を見張るような勢いで生きていた。

ビロウは、漢字では蒲葵と書き、方言ではクバと呼ばれています。
日本国内では南西諸島や、九州・四国の南部に分布する植物です。
シュロに似た植物、と言えばシルエットは想像しやすいでしょうか。
葉には薬効があり、解熱剤として利用されることもあります。*1

1本道の脇にあったガイド板を見てみると、久高島の祭祀行事では
このビロウを扇や神座として利用すると書かれていて
こんな風に自然と人間が関わり合うのが本来の姿なのかな、と思いつつ
まだまだゴールの見えない1本道を歩いていく。

くそ、暑くなってきた。
1月だけど、晴れてしまえば日差しはきつい。
そういえばさっき、砂浜で焼いてるおっさん居たな。
横を電動スクーターで抜かしていく観光客が、ちょっと憎たらしい。

ハビャーンへと繋がる1本道と、ビロウの杜

ビロウの林の影で昼寝をするクロネコから見送られつつ、1本道を進み続けると
やっとのことで、目的地だった久高島最北端のハビャーンに到着。
不思議な名前のハビャーンですが、ここはカベール岬とも呼ばれるらしいです。
岬と呼ばれるぐらいなので、ここには綺麗なビーチがあるというわけではなく
ゴツゴツゴツゴツした石灰岩が、海岸の植物にびっしりと覆われている場所です。

岬の上に仁王立ちしながら眺める海は言葉にできないぐらいの魅力を持っていて
香りの引き立った潮風を思いっきり吸い込みながら
岬の崖と浦波が作り出した虹を眺めていると
「他にはもう何も要らない」という感情になってきます。

俺の尊敬する細美武士という人間が『What I Left Today』という曲の中で
「If this was the last day of my life, I’d be lying on the beach.」
(もし今日が人生最後の日なら、俺はビーチにでも寝っ転がってるだろうね)
と歌っているんですが、そんな感情とシンクロしちゃうような、そんな気持ち。

このハビャーンという場所は俺にとって、それほどの魅力を持った
とてもお気に入りの場所になりました。

人の少ない方へ歩いて行って、裸足になって昼寝していると本当に気持ちがよかった。

ウコンイソマツ

ここで、次なる植物の紹介をしてみます!
その名はというと、ウコンイソマツ。漢字では鬱金磯松と書きます。
この植物は琉球列島と台湾の一部に分布する植物で、海岸の岩場という環境を好みます。
茎や葉には薬効があり、解熱薬や抗炎症薬として利用されることもあります。*1

そして何と言っても!! この植物のカワイイポイントは、その樹形にあります。
ハビャーンのゴツゴツとした岩場の上を歩くと、そこには無数のウコンイソマツがいて
珊瑚のように綺麗に枝を伸ばしているものもあれば
何故そうなったのかわからないけど、輪っか状の樹形をしているものもあり。
そんな個性溢れる姿が、石灰岩の岩場から顔を覗かせているのが、ほんとうに可愛らしい。
とにかく、写真を見てみてください〜。

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久高島の岩場に生える、個性溢れるウコンイソマツたち

ね!? 幹の形がとっても可愛らしくないですか!?
盆栽として楽しまれてきた歴史があるのも、納得。
なかなか見かける機会はないですが、というか現在も流通しているのか分かりませんが
もしご縁があればぜひ手に入れてみてくださいませ〜。
(絶滅危惧種に指定されてますので、もしご購入の際は
野生採取でないかだけ確認しておいて下さいね。頼みますよ〜。)

モクビャッコウ

続いて紹介する植物はモクビャッコウ。漢字では木白香と書きます。
方言ではイシギクとも呼ばれています。
琉球列島に分布している植物で、ウコンイソマツと同じく海岸の岩場を好みます。

このモクビャッコウ、花こそ地味ですが、本当に綺麗なシルバーリーフをしていて
個人的にだーーい好きな植物です。
沖縄に住んでいた頃は、自分でもモクビャッコウを育てていた経験があり
ベランダに置いて強烈な日差しに晒し、シルバーリーフを楽しんでおりました。

そんなわけで、自分の家に置くほど大好きなモクビャッコウ。
大好きな気持ち故、家で育てていたものも、散歩の途中で見かけたものも
普段からシルバーの綺麗な葉っぱを触りまくっていたので
モクビャッコウのことはよく知ったつもりでいました。

だがしかし!!
久高島で見つけたモクビャッコウの葉っぱに
いつものごとくそっと触れてみた瞬間、衝撃が!!
普通よりも2倍ぐらい葉っぱが厚かったんです

ん?? どういうこと?? これは??
確かにどの植物でも、陽がよく当たる場所だと葉が厚くなったりすることはあるけど
それにしても、この久高島のやつは厚すぎる気がする。
中には「あれ? もうこれは多肉植物なんじゃないか?」と思っちゃう程の葉っぱも。
モクビャッコウは全くもって、多肉植物なんかじゃないのに。。。

これも、久高島という環境が作り出した不思議な現象なのでしょうか??

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3枚目の写真はおまけで、近所の散歩道でお気に入りだったモクビャッコウ。
かっこいい。

さいごに

大学院での研究もいよいよ大詰めで、卒業間近。
拠点を沖縄から福岡へと移すギリギリのタイミングで、唐突に赴くことになった久高島。

そこでは、久高島を勧めてくれた人が放った「植物のパワーがえげつないんだよ!!」
という言葉の意味を目の当たりにし、その感覚を感じ取りつつも、
いったい何がそう感じさせるのか、具体的には分からないまま、島を後にすることに。

いつになるか分からないけど、もしもまた久高島を訪れるタイミングが巡ってきたら
次こそは! 「植物のパワーがえげつないんだよ!」という言葉の本当の意味を掴めるように
成長しておこうと思いましたとさ。


ではさいごに
植物以外にも四方八方へ話がとっ散らかってしまいましたが
『心惹かれる沖縄の植物たち @久高島』を読んでいただき、ありがとうございました!

もし皆さまも久高島に行かれることがありましたら
そこで見た植物についての感想や、聖地を訪れてみた時の感想などなど
ぜひ教えてみて下さいね!

また久高島以外にも、私が沖縄で植物に心惹かれてきた場所がまだまだあります。
ですので、そんな体験についても引き続き皆さんに共有していこうと思いますので
次回もよろしくお願いします〜。

ではまた!!

リンクたち

【公式ホームページ】久高島フェリー
久高島行き定期船の料金や時刻表、港へのアクセスなどについて書いてあります。
https://kudakakaiun.jimdofree.com

日本とユダヤのハーモニー&古代史の研究
『琉球諸島を一大拠点としたイスラエルの民』というタイトルの記事です。
久高島をはじめとした琉球諸島の文化や信仰の成り立ちについて興味のある方は
こちらのサイトを全力で追ってみて下さいませ。
https://www.historyjp.com/article/390/#i-5

参考にした本

*1 『改訂・沖縄の薬草』著:吉川敏男

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