はじめに
サイトを見に来てくれたみなさま、こんにちは!
MELIAMANNA(メリアマナ)代表の有吉です。
MELIAMANNAとは、大学院で植物学について学んだ店主が
”衣食住”に植物を取り入れた暮らしを追求すことをテーマとして
2023年に立ち上げたサイトです。
今回の記事タイトルは『美しい斑の発色を見よ!! ディッキア・ムーングロウ』です!
私が沖縄に住んでいた頃、通っていた植物屋の店主に譲ってもらったのをきっかけに
2022年の夏から育て始めたディッキア・ムーングロウ。
(タイピングがめんどくさいのでw、これから「ムーングロウ」と呼ぶことにします)
はじめは小さい株でしたが、それから今記事を書いている2023年の6月までの約1年間で
ムキムキムキムキムキムキムキムキムキムキムキムキムキムキ
とめちゃくちゃ元気に育っていて、サイズもだいぶデカくなってきたので
その立派になった姿をお披露目してみようと思います。
そして今回皆さんにいちばん見てもらいたいのが!!!
美しい斑の発色なのです!!!
思わずため息が漏れてしまうほど綺麗な姿なので!!!
今回の記事では、この植物にまつわる個人的なエピソードや
上手に育てるコツなどについても紹介していこうと思いますが
まずはとにかく、我が家の美しいムーングロウをご覧あれ!
黄色に輝く我が家のムーングロウ
我が家のムーングロウ。斑の発色が美しい…。
どうですかーーー!! この綺麗な黄色の発色は!!
太陽の光を受けた時なんて、もう黄金色なんじゃないかと思う時さえあります。
それに、中心で輝く斑の黄色と、下葉や葉先の力強い緑とのコントラストがたまりませんね。
お気に入りすぎて、快晴の朝も土砂降りの朝も、毎日にらめっこしているんですけど
ずっと眺めていると、この美しい中心部分に向かって引き摺り込まれそうな感覚に陥ります。
それに、株の立ち姿は徒長なども特に見当たらず、バランス良し!
サイズは直径10cmを超えてきていて、男らしくてイカつくありつつも
綺麗で繊細な部分を持ち合わせているような、そんなルックスになってきました。
(これは余計な余談ですが、植物でもギターとかでも
こいつは男っぽいなあ! けれどこいつは女っぽいなあ! こんな性格っぽいなあ!
みたいな感覚ってありません???)
このムーングロウですが
正式名称(学名)は、ディッキア・ブレヴィフォリア・ムーングロウ。
更に正式に書くと、Dyckia brevifolia ‘Moon Glow’ となります。
いきなり学名を持ち出して何を伝えたいかと申しますと
この植物に ‘Moon Glow’ という言葉を付けてあげた人、天才!! ということ。
それぞれの単語の意味を見てみますと
‘Moon (ムーン)’ はもちろん「月」の意。
そして ‘Glow (グロウ)’ とは「輝き」「煌めき」といった意味の言葉。
つまりこれらを合わせた ‘Moon Glow’ は「月の煌めき」という意味になります。
そこで先ほど紹介した我が家のムーングロウの写真を見返してみると
なるほど確かに、中心の黄色の斑が、夜空で光り輝く満月のように見えてきます。
いつもは陽が出ている時間にしか見てみたことはないけれど
夜に綺麗なライトで照らしてみたらもっと綺麗なんじゃないかな〜〜と思ったりして。
それにしても、’Moon Glow’ と命名した人、詩の才能がありそうですね。
ムーングロウの個人的なエピソード
我が家のムーングロウですが、この記事の冒頭で少し触れた通り
私が沖縄に住んでいた頃に通っていた sprout という植物屋の店主に譲ってもらったものなのです。
そこの店主とは「売り手と客」という関係は早い段階で優に通り越し、ただの友達ww
その店でビビッときた植物は即購入していたのはもちろんですが
私が大学時代を過ごした沖縄から、地元の福岡へ帰ることを決心し
植物の購入を頑張ってセーブしていた時期でも(セーブできていなかったけど)
フラっとお店に遊びに行くと、シナモンの入った濃ゆいコーヒーを淹れてくれて
「この前ここで買った植物は調子どうー?」
「この植物はこんな育て方したほうが元気なるよねー」
「今こんな音楽ハマってるんだー」
みたいな情報交換兼お喋りを永遠としておりました。
こんな商売を通り越した関係が大好きで、定期的に遊びに行くのが楽しみなお店でした。
で、我が家のムーングロウは、そんな店主が何かのタイミングで
「コレ育ててみてー」と言って譲ってくれたもの。
その時は、せいぜい直径5~6cmのサイズでしたが
沖縄では強烈な太陽のエネルギーをいっぱい吸収し
今いる福岡でもベランダで1日中太陽の光を受けて
元気いっぱいで美しい姿に仕上がっています。
沖縄から福岡へ持ってくる時にゆうパックで送った際は、梱包が甘かったのか
土もろとも鉢からピョコーーンと飛び出しちゃってたんですが
やはりとても強靭なディッキア、そんな事など物ともせずに飄々と生きております。
人生の相棒として一緒にどこまでも昇り詰めて行きたくなるような、逞しい植物です。
ムーングロウについて簡単な紹介
ここでやっと、ディッキア・ムーングロウという植物について、簡単な紹介をしてみます。
学名や分類などの専門的でマニアック(?)な情報も書いてみましたが
「よー分からん!」「アルファベットは頭が痛い!」と思った方は
テキトーに読み飛ばしてもらって全然構いませんので!!
だがしかし、生育環境(植物が生きている環境)については
このあと紹介する上手に育てるコツを掴むためにとても大切な知識なので
それだけは読み飛ばさずに、よく覚えておいてくださいね!!
和名: ディッキア・ブレヴィフォリア・ムーングロウ
学名: Dyckia brevifolia ‘Moon Glow’
分類: パイナップル科 Bromeliaceae
原産: ブラジル
環境: 川岸の岩場で、よく水を被る場所
成長: 春・夏・秋
冬期: 水を切って0℃以上を死守
次に、それぞれの情報についてカンタンに解説をしてみますね。
まずは、和名と学名について。
ディッキア・ブレヴィフォリア・ムーングロウ Dyckia brevifolia ‘Moon Glow’ ですが
この植物は自然下で生きているわけではなく、栽培品種になります。
元になっている植物は、ディッキア・ブレヴィフォリア Dyckia brevifolia で
日本では「縞剣山」という名で古くから流通している植物です。
「縞剣山」という原種に黄色の斑が入ると「ムーングロウ」という栽培品種になるわけですね。
(’Yellow Glow’ や ‘Golden Glow’ といった品種もあるようですが、違いはよく分かりません。
響きが良くてロマンチックな ‘Yellow Glow’ ということにしておいて、楽しみましょうw)
お次は分類について。
ムーングロウは、パイナップル科 Bromeliaceae に属する植物です。
その名の通り、フルーツのパイナップルの仲間であり
園芸の植物では、エアプランツやタンクブロメリアの仲間になります。
次に、原産地と環境について。
(ムーングロウは自然には存在しないので、これは縞剣山の情報になります。)
ディッキアの原産地は南米の国々ですが、縞剣山はブラジルのみに分布しています。*1
そしてここからが大事なポイント!
縞剣山の生育環境は川岸の岩場で、よく水を被る環境で生きています。
しかも、雨が降って川が増水したタイミングでは
勢いよく水流にザザア〜〜とさらされるような、そんな環境。
どうですか? 生えている環境をなんとなくイメージできたでしょうか?
上手くイメージできなかった方や、実際の生育環境の写真を見てみたい方は
下のサイトのURLにアクセスしてみてくださいね〜〜。
Dyckia Brazil (ディッキア ブラジル)
Dyckia brevifolia in its habitat. Itajaí-açu river, Subida, in Santa Catarina
http://dyckiabrazil.blogspot.com/2014/11/dyckia-brevifolia-in-its-habitat-itajai.html
最後に、成長期と冬期の管理について。
ムーングロウは春〜秋にかけて成長します。私が住んでいる福岡では4月〜11月頃でしょうか。
春は、最低気温が2桁台に突入したタイミングで成長を始めるイメージです。
寒さには強い方で、冬の時期は水を切って0℃以上を保っておけば大丈夫でしょう。
冬に入って成長が止まったら、室内に取り込んであげると安心ですよ〜。
上手に育てるためのちょっとしたコツ
ムーングロウの上手な育て方ですが、先に結論を言ってしまうと
ざぶざぶと水をあげて土を乾かすな / バキバキの直射日光に当てるべし という2つです。
成長期はこの2つさえ守っておけば、めちゃくちゃ元気に育ってくれますよ〜。
夏の暑さにも強く、とても育てやすい植物です。
ではここからは、植物の育て方についてもっと理解してみたい方のために
上の2つを守っておくべき理由について説明してみます。
まずは、ちょっと考え方のおさらいです。
【植物育て方のススメ Vol.*】出身地の環境を知ること という記事にも詳しく書いているのですが
MELIAMANNAでは、植物を上手に育てられるようになるためには
植物の出身地の環境を知ることが大切であるとお伝えしています。
なぜなら、植物も生き物なので、環境の得意不得意があるからです。
植物の得意な環境を理解してあげ、それに合わせて水をあげたり光に当てたりすることで
植物を元気に育て上げることができるようになります。
ではムーングロウでも、出身地の環境を理解しながら、上手な育て方を考えていきましょう。
水やりについて
ますは、水やりについて。
先ほど生育環境について説明した際に、ムーングロウ(縞剣山)は
川岸の岩場のよく水を被る環境 / 増水時は勢いよく水流にさらされる環境
で生きているということをお伝えしました。
Dyckia Brazilのサイトで写真を見てみた方は、それがよく理解できたと思います。
ここから分かることは、至ってシンプル。
それは、水を好み、乾燥を嫌うということ。
川岸の水を被る環境で生きていれば、水が大好きなのは当たり前ですよね。
ですから、鉢植えでムーングロウ(縞剣山)を育てる時にも
表土が乾いたらすぐに水をたっぷりとあげ、土を完全に乾かさないようにしましょう。
一般的な多肉植物のように、少ない水やりをするのはNGです。
水が不足していると、葉の緑の発色が悪くなるような印象があります。
日当たりについて
次に、日当たりについて。
これはディッキア全般に言えることなのですが
ディッキアは通常、開けた岩場といった環境で生きています。
開けた環境ということはつまり、直射日光がガンガン当たる環境を好むということ。
ですから、鉢植えでムーングロウ(縞剣山)を育てる時にも
バキバキの直射日光に当ててあげましょう。
光の量が不足していると、徒長してちょいとだらしない姿になってしまいます…。
またムーングロウでは、光が不足していると、斑の黄色の発色がボヤける印象があります。
※あくまでも個人的な育て方のコツです! 実践される場合は、ご自身の植物をよく観察しながらで!
さいごに
今回の記事『美しい斑の発色を見よ!! ディッキア・ムーングロウ』はいかがだったでしょうか。
ムーングロウがもつ斑の美しさに魅了された方は、ぜひゲットして育ててみてくださいませ!
斑が入っていない縞剣山も、緑の発色と、葉の裏の縞模様がとても美しい植物なので
ご縁があればぜひ手に入れてみてくださいね。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました!
また次の記事でお会いしましょう〜。
参考
*1 Juliana Marcia Rogalski, Ademir Reis, Marcelo Rogalski, Tiago Montagna, and Maurício Sedrez dos Reis, 2017. Mating system and genetic structure across all known populations of Dyckia brevifolia: A clonal, endemic, and endangered rheophyte Bromeliad. Journal of Heredity 108(3): 299-307.