もくじ
はじめに
サイトを見に来てくれたみなさま、こんにちは!
MELIAMANNA(メリアマナ)店主の有吉です。
MELIAMANNAとは、大学院で植物学について学んだ店主が
”衣食住”に植物を取り入れた暮らしを楽しむことをテーマとして
2023年に立ち上げたサイトです。
今回の記事の主役は、アロエ翡翠殿です!
僕が園芸を始めてからというもの、これまでに多種多様な植物を育ててきましたが
何故だか、アロエには手を出したことがありませんでした。
そんな中、今回登場する翡翠殿を2023年の8月頃にたまたま見つけて
その辺りからアロエへの興味がじわじわふつふつと大きくなりつつあるところです。
そんな翡翠殿ですが、名前の通り、普段は透き通った翡翠色をしているものの
11月・12月に入り、ぐんと気温が下がってきたタイミングで
葉が次第にワインレッドに紅葉してきており、その様子がとても綺麗でした。
視界の中が寂しくなる冬に、少しでも色の変化があったりすると嬉しくなりますね〜。
ということで今回の記事では
冬が到来して翡翠殿がワインレッドに紅葉している様子や、
冬が来てもなぜか翡翠色を保ったままの翡翠殿の様子、
さらには、翡翠殿を格好良く締まった姿に育て上げるためのコツ
などについて紹介してきたいと思います。
翡翠殿との出会いと、季節ごとの様相
夏の日照りに映える翡翠殿
それは2023年の8月頃。夏真っ盛りのお昼時でした。
うだるような暑さの中、午前中にひと仕事を終えてから
ストックが切れていたスパイスを補充するために馴染みのスーパーを訪れると
その向かいにある小さな植物屋さんで、物陰にひっそりと
翡翠殿がいくつか佇んでいるのを見つけました。
その中から、形が良さそうなものをつまみ上げ、夏の日差しに晒してみると
まずはその、緑の発色がとっても綺麗。
”翡翠”と名付けたくなる気持ちに、とっても共感してしまいました。
また翡翠殿は、普及種の中の普及種と言っても過言ではないんですが
よくよく観察してみると、ゴツゴツとした男らしいトゲと
翡翠色の葉の上に星のように散りばめられた白い斑点とがコントラストをなしていて
それがとっても美しい。
このようにして、改めて見つけることができた翡翠殿の魅力に惹かれたのと
「そういえばアロエ持ってなかったな〜」というのをここで思い出したこともあり
初めてのアロエとして、翡翠殿を選んでみたのでした。
秋が来てワインレッドに色づいた翡翠殿
窮屈そうだったので夏の終わりに株分け・植え替えをするなどしていると
残暑さえも過ぎ去り、あっという間に秋が到来。
11月・12月と、急流のように時が流れていくとともに
最低気温も安定して1ケタ代となり、急に冷え込んできました。
そして、多肉植物だからたまにしか水やりしないこともあって
最近あまり気にかけていなかった翡翠殿を久しぶりによく観察してみると
「うわ!!葉っぱが赤い!!」と、葉色がワインレッドに色づいていることにびっくり。
透き通った翡翠色からの変わり様に、自分でもびっくりしてしまいました。
やっぱり、初めての植物を季節を通して育ててみると
これまでになかった経験や発見ができてとても面白いですね〜。
ということで、秋になってワインレッドに色づいた翡翠殿をご覧あれ!!
とっても綺麗でしょう?
ワインレッドが入ったことによって、より一層ギュッと締まっているように見えて
全身が鮮やかな翡翠色の時に負けず劣らず、僕的にはすごくお気に入りの姿です。
また、色づいたワインレッドと、微かに残る翡翠色との調和も、これまたとても綺麗。
古くから鑑賞され、楽しまれてきたのも納得の姿です。
翡翠殿は、多肉植物全体から見ても普及種中の普及種なので
希少性とか、価格的にはあまり価値の無い種類の植物かもしれませんが
こうして季節を通して育ててみると、素敵な変化を見せてくれたり
改めてよく観察してみると、星を散りばめたような葉の模様に魅了されてしまったりと
心奪われる要素がぎっしりと詰まっているのは確か。
「希少性とか価格とかじゃなくて、植物そのものをちゃんと見よう」
と改めて思い直したきっかけが、この翡翠殿だったりもします。
可愛がっている植物が、高かったろうが、安かったろうが
それともそこらへんの空き地から拾ってきたものであろうが
自分が気に入っているっていうのが最上のの価値ですからね!!!
冬なのに色づかない翡翠殿
ワインレッドの翡翠殿を楽しんでいたところで、不思議な現象がひとつありました。
迎えたばかりの窮屈そうな翡翠殿を、2023年の夏頃に2つの鉢に株分けしてから
それらを水やりの頻度や日当たり、風への当たり具合など、全く同じ条件で育ててたんですが
片方の鉢の翡翠殿だけ翡翠色を保ったままで、ワインレッドに色づかないんです。
なんで???
ワインレッドに色づいた方の翡翠殿を観察している限りでは
「水を切る」「寒さに当たる」という2つの条件が両方揃った時に変色する
というのはなんとなくの感覚として分かったんですけど
(その証拠に、水やりの頻度を上げると冬でも葉の緑色がじわじわと復活する)
2つの鉢ともに、水やりのタイミングや、置き場所は全く一緒。
何か違いを1つ挙げるとするならば
翡翠色を保っている鉢の方が、鉢の号数が1号だけ大きいことでしょうか。
鉢のサイズが大きい分、少しだけ保水性が上がって
「水を切る」という条件が揃わなかったとか???
それとも、ただ単に植物自体の問題??
(とは言っても、株分けしてるから元は一緒なんだけど)
謎は深まるばかりです…。
けれど、ワインレッドと翡翠色の翡翠殿を並べて楽しむのもこれまた一興
ということで、2鉢の色のコントラストを楽しみながら冬を越して
また春の変化を楽しみに待つことになりそうです。
アロエ翡翠殿についての紹介
翡翠殿の美しい色彩の変化について書いてみたところで
お次は翡翠殿の基本的な情報について紹介してみますね!
和名:翡翠殿 (ひすいでん)
英名:tiger tooth aloe
学名:Aloe juvenna
分類:ススキノキ科 Asphodelaceae
原産:ケニア
環境:森林の岩場
◎名称について
和名の「翡翠殿」は、この美しい葉色に由来するものでしょうかね。
それに対して英名の「tiger tooth aloe (虎の歯みたいなアロエ)」は
ビシッと三角形に締まって、刺々しいの葉の形に由来するものでしょうか。
片や透き通る緑を翡翠に見立て、片や猛々しい葉の形を虎の歯に見立てる。
名付け方ひとつとっても、民族的な価値観の違いが垣間見えて面白いです。
また学名 (種小名) の”juvenna”とは「子供の・若い」みたいな意味。
これは、まだこの植物が知られていない頃に、そのサイズの小ささから
「これは何かのアロエの子供だろう」と思われて、間違って名付けられたからだそうです。
しかし後に、この植物は何かのアロエの子供でもなんでもなく
れっきとした新種であることが分かると、それがそのまま正式な名前になったらしい。*1
たまたまサイズが小さかっただけで、未来永劫子供扱いされることになる翡翠殿。
ちょっと可哀想な気もしますw
◎原産地と生育環境について *1
翡翠殿の原産地はケニア南西部とされています。
ケニア南西部というと、標高が1,500mを超えていてとても冷涼な地域です。
自然の中ではとってもレアな植物だそうですが
ケニア南西部の森林の尾根沿いにある岩場で見つかっているそう。
ちなみに、園芸界では古くから存在する普及種ですが
どのようにして自然界から園芸へ持ち込まれたかは、全くもって謎みたいです。
アロエ翡翠殿を上手に育てるためのコツ
◎住と植物
MELIAMANNAでは、植物を”生活を共にするパートナー”と捉え
住まいを植物で彩るためのアイデアや、植物を上手に育て上げるための知恵を発信しています。
今回は、アロエ翡翠殿の栽培のコツについて書いてみようと思います。
まずMELIAMANNAでは、植物を上手に育てるコツを掴むためには
その植物が本来生きている環境を想像してみようということをお伝えしています。
というのも、植物も生き物なので、環境の得意不得意があるからです。
その植物が本来生きている環境、つまりは得意な環境を理解してあげて
それをイメージしながら水をあげたり、太陽に当てたりすることで
植物を元気に育て上げることができるのです。
翡翠殿の生育環境
先ほども書きましたが、翡翠殿の生育環境は
ケニアの標高が1,500mを超える地域で、森林の尾根沿いにある岩場でした。
ケニアというと、赤道の真下にある国なので、灼熱な気候を想像しがちですが
標高が高い地域が多いので、実際は冷涼で過ごしやすい地域。
首都のナイロビだって実は、標高が約1,500mだったりします。
翡翠殿が生育するとされるケニアの南西部も、標高は1,500mを超えていて
ちょいと調べてみると、平均気温は1年を通して約20℃くらいでした。
もう、移住したくなっちゃいます。最近日本暑いから!!
翡翠殿の生育環境は、森林の尾根沿いにある岩場、らしいです。
自然界ではレアみたいなので、なかなか実際の写真は出てきませんが…。
ただし、「尾根」「岩場」の条件が揃っているので
比較的、水捌けがよくて乾燥しがちな環境だと予想します。
水やりについて
翡翠殿の生育環境は、森林の尾根沿いにある岩場ということで
比較的、水捌けがよくて乾燥しがちな環境であると予想しました。
また、アロエなので当たり前っちゃ当たり前なのですが
葉が多肉質で水分を溜め込んでいるため、乾燥に対して耐性があることは確か。
ですので翡翠殿の水やりは、土が完全に乾燥してから行なうのがポイント。
乾燥に耐性のある植物に対して、過剰な水やりを行なってしまうと
根腐れや徒長のリスクが高まってしまい、締まった姿に育ちません。
ちょっと少ないかな、と思うぐらいの水やりが
引き締まったかっこいい姿に育てるためのコツです!
また根腐れ防止のため、特に水やりの後は
日光と風をよーーく当てて、鉢の中の水分をしっかりと乾かしてあげるとなお良いです。
日当たりについて
日当たりに関しては、生育環境云々ではなく、アロエは一般的に直射日光を好みますので
翡翠殿も直射日光をガンガンに当てながら育ててあげましょう。
そうすることで、日光不足による徒長を防ぐことができ
かっこよく締まった姿に育て上げることができます。
個人的には、夏の直射日光下でも葉焼けせずに綺麗な姿を保つ植物と思っていますが
もし葉焼けするようでしたら、夏の間は遮光してあげると良いです。
夏越しについて
アロエの成長期は一般的に春〜秋とされることもありますが
翡翠殿に関しては、標高が高く冷涼な地域に生育しているので
灼熱の日本の夏に対して、そこまで耐性が無いと思われます。
我が家の環境では、風当たりが良いところに置いてあって、暑さが緩和されているのか
夏の直射日光に当てても、普段通りの水やりでも、なんてことないですが…。
強い植物なのでなかなか死にゃあしないですが、それでも夏は成長が緩慢になるので
夏の間は水を切って明るい日陰に移動しながら育ててあげるのが確実かもしれません。
翡翠殿の季節ごとの育て方まとめ
最後に、翡翠殿の季節ごとの育て方についてまとめてみますね。
福岡県福岡市に住む僕の環境での話なので、あくまでも参考程度に!
季節 | 成長 | 開花 | 水やり | 管理場所 |
春 (4~6) | ○ | ? | 土が完全に乾いたら | 南側のバルコニー。直射ガンガン。 |
夏 (7~9) | △ | ? | 土が完全に乾いたら | 南側のバルコニー。直射ガンガン。 |
秋 (10~12) | ○ | ? | 土が完全に乾いたら | 南側のバルコニー。直射ガンガン。 |
冬 (1~3) | ー | ー | 月1ぐらい | 南側の屋内。陽が差し込む所。 |
◎水やりについて補足
普通の園芸植物と同じ要領ですが
休眠が明ける4月頃からは、これからの成長に向けて徐々に水やりの頻度を増やしていき
成長が止まる12月頃からは、これからの休眠に向けて徐々に水やりの頻度を減らしていきます。
◎管理場所について補足
先ほども書きましたが、夏場は成長が緩慢になって調子悪そうなタイミングもあるので
水やりは控え、明るい日陰などで管理してもいいかもしれません。
また耐寒性は強めなので、関東より南側の地域では1年中屋外でも大丈夫と思いますが
僕は念の為、冬の間は室内で管理しています。
沖縄から帰ってきてから1年目なので、冬越しが怖いんです!!w
さいごに
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の記事では、気温がぐんと下がってアロエ翡翠殿がワインレッドに色付いたので
その様子を写真とともに紹介しながら
かっこいい締まった姿に育てるためのコツについても紹介しました。
我が家ではこれからも、直射日光ガンガン、水少なめのスパルタで翡翠殿を育てて
引き締まった姿をゆっくりと作っていきたいな〜〜と思っている所です。
ではまた次回の記事で!